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◆◇九州温泉巡り旅行記◇◆
阿蘇-長湯温泉-黒川温泉

31.ラムネ温泉館の銀のアワアワ






 お湯は濁り湯でそこそこ温かい。
 もっと熱い湯がいい人は大丸旅館のテイの湯に入れと張り紙があり、万象の湯翡翠の庄もそうだけど運営母体のアピールもちゃっかり忘れない。
 こちらのお湯では泡が付くという感じはしない。

 浴室の一角に有機的なカーブでくりぬかれたような出口が開いている。
 その外が露天風呂だ。
 やっぱりラムネ温泉館と言えば露天風呂らしいので、少し内湯で体を温めたあと、さあいよいよ長湯のクライマックスかと外に出てみた。


ラムネ温泉館に行く途中にあった看板だけど、ラムネ温泉館もBBC長湯も大丸旅館系列なのね。


 既に日は落ちて暗い。
 雨が降ったからなのか、いつもそうなのかわからないが上に砂漠のリゾートにあるようなシートが浴槽の上に屋根のように掛けられている。

 曲線で出来ていた内湯とは異なり、長方形の浴槽が中でT字型に仕切られて見える露天風呂には、隅の方に二人ほど、反対側に一人ほどの先客がいた。
 入るとひんやりする。
 暗くなったとはいえ8月の夕べ。
 寒がりの私は昼間の赤川温泉じゃないけど冷たい温泉が苦手。
 そんな自分にとってこのラムネ温泉館の露天風呂はぎりぎりの温度だと思った。体温よりちょっと低め。これより冷たかったら入るのに難儀する。

 ライトアップされた位置に陣取っていた二人組が上がったので、さっとそちらに移動した。
 もう一人入っていた先客も既にいない。

 二人組のいた場所がまさにベストポジションのようで、ライトに照らされた透明なお湯の中からブシューッと勢いよく泡が噴き出している。
 よくお湯を見るとたまに赤い小さな粒上の湯の花も見える。
 すっごい。ひんやりした銀のアワアワに包まれる。そりゃもう、本当に凄い。

 泡の出る炭酸泉自体は日本のあちこちに湧いているが、手を加えない状態で入浴に適した温度なのに湯船で泡が楽しめる温泉と言うのは結構少ないと言われている。
 この泡は遠くから来る価値がある。
 確かに長湯温泉に来たらラムネ温泉館に入らなきゃ。


夜になってますます顔みたいに見えるラムネ温泉館の建物


 アワアワのお風呂で何が好きと言って、この肌にまとわりついた微細な泡をさーっとなでたりつぶしたりすること。
 ついつい飽きずに何度も繰り返してしまう。

 でもやはり温度が低いのでしばらく入っていると突然鳥肌が立ちだし、寒くてたまらなくなる。
 それで何度か内湯と往復した。しかし中のお風呂も温度の割にあまりあたたまらないタイプのお湯。最後は限界が来て上がることにした。

 ところでそのアワアワの露天風呂に何度目かで入っている時、後から入ってきた人が「今日は何でこんなに空いているの」とびっくりしていた。
 「なんで?」と私に聞かれても、私はここに来たの今日が初めてなもので。
 もしかして今日って穴場なのか?
 いつもはずっと混んでいるならそれは空いていてラッキーと言う他ない。
 湯上りはすべすべだった。今日入ったどの温泉より肌がすべすべになった。何か表面が一皮むけたみたい。泡で楽しいだけじゃなく、本当に美肌効果もあったよ。


ラムネ温泉館グッズも可愛い。



2-32屋台村の角ちゃんの三星へ続く


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