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◆◇九州温泉巡り旅行記◇◆
阿蘇-長湯温泉-黒川温泉

5.五ヶ瀬温泉に電話をする






 車は黒のヴィッツ。
 係員が最初の目的地をカーナビに入れましょうと言ってくれたので、パパは最初に寄る温泉を入れたらと私に促したけど、「あー、ちょっとまだ検討中だから」と言ってとりあえず高千穂峡を入力してもらった。




 最初、道が細いのでカーナビの指示ではなく空港の敷地を抜けてから移動してくださいという係り員の指示に従って、地図を見ながら空港の脇を通り、気が付くともう旅は始まってる。夏空らしい青空にもくもくと白い雲。町はすぐ抜けて、正面は阿蘇の外輪山のゆるやかな緑の稜線。

 まずすることは電話、車の中からさっき悩んでいた温泉施設への。
 最初に寄る温泉はこれから向かう高千穂峡に近い五ヶ瀬温泉木地屋というところの予定で、公式ウェブサイトに書かれた情報は入浴時間10:00~21:00だけだったのだが、さっき飛行機の中で見ていたガイドブックに水曜日に限り午後3時からと追加情報が書かれているのを目にしてしまったので、そうだ、今日は水曜日じゃないとハタと気づいてダメもとで電話することにしたのだ。


地図の指示に従い、空港の横を抜ける


 電話の応対は非常に丁寧で好感が持てたが、残念ながらやはり水曜日はメンテナンス清掃日とのことで、午後3時からの開館。
 パパは宿には午後3時ぐらいに到着したいななんて言っていたからとても無理。

 もう最初っから計画倒れかぁ。計算が狂うなぁ。じゃ、どうしようか。とりあえずこのまま温泉には寄らず真っ直ぐ高千穂峡に向かうか。
 「でね、その温泉がダメだった場合どこに寄るかだけど」
 「ハイ」
 「今日、他に寄ろうと考えていたのが月廻り温泉館と言うところで、あと他に今夜泊まる地獄温泉の近くに垂玉温泉っていうところがあるから、もしかしたらチェックイン前にそこにも寄れるかもしれない」



阿蘇の外輪山の車窓の景色


 垂玉温泉山口旅館は地獄温泉から近いし、温泉自体もとても良さそうなので是非とも入りたかったが、ネックになっていたのは立ち寄り入浴時間の短さだった。
 11時から15時(受け付け締め切りは14時半)。
 始まりが11時と言うのは遅めだし、終わりが15時と言うのは関東の温泉旅館では一般的だが今回チェックした九州の温泉施設の中では飛びぬけて早い。多くが21時ごろまで受け付けてくれるので。
 といっても日帰り温泉専門じゃないし旅館なら宿泊者優先ということで、仕方がないっちゃあ仕方がない。
 「じゃあ先に寄っちゃえば、その垂玉温泉」
 「えっ?」
 ・・・パパ、それって思いもつかなかったナイスアイデアだよ。
 車に表示されてるデジタル時計を見れば時刻はまもなく11時。
 高千穂峡へ向かっている道はどうせ垂玉温泉の近くを通る。
 とんとん拍子に最初の立ち寄り温泉が決まった。しかも想定外の。



1-6阿蘇山に棚引く湯煙へ続く


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