湯上りは脱衣所を出たところにある洗面台で水分補給をした。
水分が抜けてしまったように感じていたので、冷たい水がスーッと染み込んでいくような気がする。
そこへ宿のご主人とおぼしき男性が通りかかったので、不動明王の幟がはためいていたお隣さんと源泉が同じなのか聞いてみた。
すると、
北白川ラジウム温泉の源泉は30m先の裏山の斜面の岩盤から自噴しているもので、特のその花崗岩の岩盤を通ることによりラジウムが多く含まれるが、隣接する不動温泉は地表から汲み上げている。恐らく元の源泉は同一だと思われるが、採取する場所が違うことにより、あちらの温泉は雨水などが混入し有効成分が薄く、雑成分が多いとのこと。
片方からだけ聞いた情報なので全てが正しいとは限らないが、採取場所・方法による違いと言うのはあるかもしれないと思われる。
「この温泉は口コミで来てくれる人も多く、ほらキャスターの筑紫哲也さん、癌で亡くなる前にね、うちの温泉がよく効くよく効くって通ってくれたんですよ。入浴したり休憩室で休んだりしながら一日ゆっくりされる方も多くてね」とご主人。
確かに先ほど入れ違いで上がった先客が休憩室でくつろいでいる姿が見えた。
「館内の蛇口から出るのは全部温泉なんで、汲んで帰る人も多いですよ」
そうなんだ。じゃ、もう一杯飲んでいこうかな。
帰りのバスについても聞いてみたら、お客さんが少ないときは一気に山を下ってくるのでたまに時刻表より早く通過してしまうこともあるとのこと。
お礼を言って少し早めに出発することにした。
この温泉の効能のせいなのか、元々あまり汗をかかない体質なのに全然汗が引かない。
時刻を確認しようとスマホを見たついでにアンテナを確認したら、この辺りはauの電波は圏外のようだった。