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◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

18.窓は開けるべきか開けないべきか











 真新しい洒落た作りは階段までで、二階に上がるとそこはむかぁしからある湯治場の雰囲気を残す廊下だった。
 左側には畳の大広間休憩室が、右側の狭いスペースには古びたマッサージチェアが置いてある。
 浴室手前のステンレスの洗面台も、貴重品入れのコインロッカーも年季が入っている。
 しかし脱衣所はまた玄関付近と一緒に作り直したものか木目も鮮やかにぴかぴかだった。

 浴室もまた脱衣所同様新しい。
 床と浴槽は滑らないようにざらざらとさせた赤御影石で浴槽自体は浴室の奥にすっぽりとはめ込まれた長方形だ。大きさは4人ぐらいが入れるサイズ。
 今日はこちらが女湯だが、石垣のように石を組んだ浴槽のお風呂と日替わりで男女の入れ替えをしている。
 浴槽の奥は蛇腹式の広い窓になっていて、これを全開すれば露天風呂気分に浸れるということは後から知ったが、そもそもこの浴室を公式サイトで露天風呂と呼ぶのは少々無理があると自分は思う。
 ちなみに脱衣所には「浴室内の空気にはラジウムが一ぱい含まれておりますので窓を開け放たないように願います」と記載された入浴の注意書きが貼られていた。
 これは窓を開けるべきなのか開けないべきなのか悩むところだね。


北白川天然ラジウム温泉のこちらは新しい方の浴室。
一方では「窓を全開すれば露天風呂気分に」。もう一方では「空気中にラジウムいっぱいなので窓を開けるな」。
どうせいっちゅうねん。



 洗ってから湯船に足を入れると、お湯は決して熱くない。ちょうど良い感じ。
 きしつきがある他はお湯の色は無色透明、臭いも味も無い、温泉だと言われなければ判らないかもしれない。いや、言われてもわからないかもしれない。
 しかし入ると少し心臓がドクドクする感じがあり、とにかくすぐにどっと汗が出てくる。
 お湯の温度や入っている時間からするとどうしてこんなに発汗するのかと思うほどだ。何だかまるで特徴が無く思えるお湯だけにこのギャップがとても面白い。

 浴室内にはドアがあって、隣にももう一つ浴室があった。
 浴室の大きさはどちらもほぼ同じ。浴槽の大きさも位置もほぼ同じ。違いは古さだ。片方は床も壁も浴槽の内側も古そうなタイル張りで、そう、観光用ではない共同浴場でよく使われているようなお風呂の雰囲気だ。石をかぶせた素朴な湯口からお湯がどぼどぼと出ている。


こちらは古い方の浴室。
結局ラジウムが逃げないようにという注意書きに従って窓を開けなかったので画像が全部湯気で曇っている。



 中に入っている源泉はどちらも同じもの。
 新しく綺麗な浴室が良いか、使い込まれてなじんだ浴室が良いかで選べばよいらしい。
 新しい方も良いけれど、古い方も落ち着くな。
 古い方が体に効きそうな気がするのは気のせいかしら。

2-19北白川温泉と不動温泉へ続く


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