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◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

34.京都の温泉銭湯へ






 四条大宮の交差点で地下にもぐり、行きに来た時と同じ阪急京都線のホームに降りる。
 目の前で電車は行ってしまい、次は10分後。あーあとため息をつく。
 昼間利用した市バスの観光客然とした乗客たちと違い、こちらのホームにいるのは地元の人や休日出勤の仕事帰りの人ばかりのようだった。
 時刻表通りに来た電車は座席にまばらに人が座っている程度の混み具合。
 電車は初めは長いトンネルに入っているように地下を走っていたが、西院駅を過ぎてしばらくしたら地上に出た。
 地下にいたのは大宮駅での待ちを含めてそんなに長い時間では無かったはずが、地上に出てみると既に黄昏ていた。
 街の灯りがぽつりぽつりとつきはじめている。





 西京極駅前は町中だけれども少しさびしい感じの通りだった。
 事前に印刷してきたgoogleマップを手に、カナと二人で歩きはじめる。すぐに大きな通りに出た。地図によるとこの西小路通りを真っ直ぐ南に進んで、途中で七条にぶつかったら東へ折れる。つまり一回曲がるだけでたどり着けるはず。目指す天然温泉天翔の湯は直線だと西京極駅の南西方面斜め前方にある。

 念のためスマホのマップも立ち上げて道案内させたが、シンプルな大通りの直角ではなく、途中でちょこちょことじぐざぐ曲がりで行けと指示してきたのでこちらに頼るのはやめにした。

 西小路通りは歩道も有り片側二車線の道幅こそ広いものの、人通りはほとんどなく広い空き地などもあって少し怖い。
 初めての道だと目的地までの距離感がつかめずやけに遠く感じる。
 ようやく前方に七条の表示板が見えてきた。


西京極駅前の通り



西小路と七条が交差するあたり


 七条の通りはこれまで歩いてきた西小路と比較すると狭かった。
 ちょうど曲がり角近くには古い木造建築も多く観光地ではないものの京都らしさがあるように思われる。
 昔は東京にもこういう古い民家がたくさんあったのだろうけど、ずいぶん空襲で失われてしまったんだろうな。

 曲がってからはそんなに遠くは感じなかった。
 もう辺りはとっぷりと日が暮れて、少し道幅が広くなったあたりに天翔の湯の看板が光っていた。
 建物の前には何台かの自転車が停めてある。
 白い手ぬぐいを手にしたおじさんがドアを開けて出てきた。
 牛乳石鹸の「ゆ」の暖簾。
 ここが天翔の湯だ。






1-35天翔の湯へ続く


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