最初の
初湯に着くと、ちょうどもう一組夫婦連れの観光客が入るところだった。
渋温泉の外湯はどこも木造の湯小屋で基本的に浴槽があるだけの簡素な作りだ。
それがいかにも共同浴場らしくていいんだが、この初湯も同じで棚だけの脱衣所から浴室に移ると、そこは板張りの浴室で、長方形の浴槽にやはり木の樋を伝ってお湯が入るようになっていた。
まったく何も考えずにその場にある桶を取って湯船のお湯で掛け湯をしたら
「あつーーーーっっ」
やけどするかと思った。
なんじゃこりゃ。昨日今日の草津の外湯も熱かったけど、ここはそんなもんじゃない。いったい何度あるんだ?
男湯の方からも熱いとか水を入れているとか声が聞こえてくる。どうも男湯はもう一人地元の子なのか手慣れた子供がいて加水してくれているようだ。後から聞いたら小学生で、ホースで水を入れる時も跳ねないように桶で押さえて使っていたそうだ。
こっちは素人二人、途方に暮れる。
とにかく最初はためらったがこの温度じゃとても入れないので水の蛇口を限界まで開けた。
もう一人の人はカランに付いていたホースを浴槽に入れてこちらも加水の加勢をしてくれる。
途中で湯口の樋にせき止めるための板を見つけたのでこれも使ってみた。でもあまりがっちりせき止めてくれるわけじゃないので気持ち程度の効果かも。