私が熱い浴槽に入っているときに、
大滝乃湯のスタッフの女性が温度やお湯の状態をチェックしに入ってきた。
温度計を入れて、それぞれの浴槽の温度を確認している。
熱い湯から出てぐったりしている私の隣にやってきて、「一番ぬるい浴槽の中で休んだ方がいいですよ」とアドバイスもしてくれる。
そこですかさずいろいろ質問してみた。
「あそこに書いてある順番で入っているんですけど、合わせ湯とはどのように入るのが正しいものなんですか?」
「熱いお湯とぬるいお湯に交替で入っていただければいいですよ。草津には時間湯という湯治のための入浴法がありますけど、でも観光客のみなさんは順番は気にせず自由に入っていただいていいと思います。湯治場の雰囲気だけ感じていただければ」
ちょっと拍子抜け。
その中途半端さが合わせ湯の説明足らずなところにあらわれているとも言える。
「今日の温度は何度くらいでしたか」
「一番熱いところで45度、一番ぬるい方は37度くらいでした」
壁の表示よりも全体的にぬるめてあるらしい。
「一番奥の打たせ湯のある浴槽だけ源泉が違うんですよね?」
「上の大浴場と同じなんですが、あそこだけ煮川源泉に万代鉱源泉をミックスさせています」
ふむふむ、ミックスと言うことは、万代鉱単独使用ではないわけね。
「万代鉱はもちろん煮川源泉も食用酢よりも酸性が強いので湯あたりすることもあります。みなさん、入浴後はよく休んでしっかり水分補給をして下さいね」
スタッフはいろいろな人に声を掛けて、脱衣所の方に戻っていった。
結局私は、二番目に熱い浴槽の後にも一番ぬるい浴槽に戻った方が良いとアドバイスをもらったにも関わらず初心貫徹、張り紙にあるとおり、45度の次は44度の浴槽に入って締めた。
それにしても判らない。
今のスタッフの言葉からすると、合わせ湯は熱い湯とぬるい湯を交互に入ることで効果が上がるらしい。
すると・・・
1.ぬるい湯から熱い湯に順番に入る方法(もちろんラストは一番熱い湯)
2.ぬるい湯と熱い湯を交互に入る方法(熱いのとぬるいのとどちらからスタートするのが正しいかもちょっと判らないが)
3.中くらいからスタートして、次が一番熱い湯、次に一番ぬるい湯、次に二番目に熱い湯で最後がそれとほとんど変わらないけど三番目に熱い湯という順番
以上三つの方法で正しい合わせ湯はどれ???
考えれば考えるほど判らなくなってしまった。
どうでもいいじゃんと言われればそれきりだが。
まあとにかく一巡すると猛烈に疲れた。
今までちょいぬるの共同浴場を回ってきたのを全部合わせたよりも何倍も疲れた。
温度が高いと本当に半端でなく体力を消耗する。
加えて煮川源泉、やっぱり強烈。
最後にちょこっと万代鉱源泉の方にも入ってみた。
打たせ湯もやろうとしたが、肩を突き出したところで逡巡した。
前に万代鉱に入った後、背中の皮がむけて後から痛くなったことを思い出した。
その万代鉱を勢いよく肩に当てようなんて考えただけで恐ろしい。
3秒でやめにしよう。
とりあえず試してみるだけ試した後は、小心者の私は浴槽に静かにつかるだけにしておいた。