1.悩める朝
二日目 2003年9月20日(土)
不安な夜だった。
前回のキャンプが嵐だったから、またまた同じことになるんじゃないかと。
夕食の後振り出した雨は、一度上がり、子供たちが寝てしまった後パパが、止んだから起きる?と聞いてくれたが、8時過ぎにそのまま寝てしまった。パパは一人で少し飲んでいたようだ。前に紺碧七さんに頂いた日本酒「〆張鶴」が開いていた。
夜の間に何度か目が覚めて、シュラフから這い出してしまう子供たちを再びシュラフの中に押し込みながら、ざわざわと木々の騒ぐ音を聞いていた。それは降り続く雨の音にも聞こえて、きっとテントの外はまだ降り続いているのだろうと思った。テントも揺れていた。山を吹き降ろす風が強いのだろうなと思った。
朝起きたら、雨の音だと思っていたのは風の音だったと判った。夜は雨は降らず、テントやタープはすっかり乾いていた。
涼しい朝で、長袖の上にフリースを着ないといられなかった。
カナはすぐ起きたが、レナはなかなか起きなかった。三人だけでパンを食べる。レナは起きなければ車の中で食べさせればいいかと話していたら、朝から彼女は「焼マシュマロ~」と絶叫して起きた。
今日は天気が良ければ天然の滝つぼがそのまま温泉になっているという
川原毛に行こうと思っていた。
天気…いいか? どんよりと曇っている。今にも雨が降ってきそうだ。
他のプランは鳴子のたかともワンダーファームで遊んで鳴子の温泉巡り、あるいは須川高原方面へ行き、須川高原と栗駒山荘のお風呂に入って戻ってくる、など。
でも温泉だけだとカナもレナも楽しくないみたい。遊んで、それから温泉に入るのは好きだけど。温泉だけに引っ張りまわすのはなかなか辛い。あんまりやると、次はもう、入らないよとカナにきっぱり言われてしまう。
川原毛なら子供も喜ぶと思った。だから寒くなる前に栗駒方面に行きたかったのだ。温泉だけどそのまま川なんだから、はしゃいでも水遊びをしてもいい。お風呂としてじゃなく、川と滝で遊べるんじゃないか?と思って。
どうする?
結論はとにかく行ってみよう、だった。
どうしても寒すぎて入れなければ近くのどこか温泉へ入ってくればいいじゃないかと。秋の宮、泥湯…入ってみたいところはいっぱいある。
実はこのとき私たちが大きな勘違いをしていることにはまだ気がついていなかった。