「で、せっかく鹿児島市内に来たんだから、鹿児島市の温泉銭湯も入って行っていい?」
ジロッと睨まれた気がする。
「渋滞は嫌だぞ」
「大丈夫大丈夫。城山展望台から町中は通らないから。寄ろうと思っているのは城山展望台の裏手だから」
西田温泉、みょうばん温泉、湯乃山、城山長寿泉あたりを考えていたが、西田温泉とみょうばん温泉は市内に戻る必要がありそうだし、湯乃山は火曜日が定休日、よって消去法で城山長寿泉に寄ることにした。
地図で見ると城山長寿泉は史跡の西郷隆盛洞窟の向かいのようだ。
下り坂の途中に右カーブがあって、そのカーブのところに駐車場があった。
パパは入らないと言う。私一人で車を降りた。
駐車場に隣接している屋根に苔むした建物が温泉だと思ったら、実はその隣だった。
入り口に天然掛け流し温泉 長寿泉とある。
入り口はいかにも銭湯という感じ。
東京・神奈川あたりの下町の温泉銭湯にありがちな受付で、おばあちゃんが一人座ってチケットを徴収している。
脱衣所も浴室も壁がピンク色に塗られているのが印象的・・というか違和感。
脱衣所なんかは結構広い。大勢入浴客が来ても大丈夫な規模だった。
で、そのピンクの壁は浴室内はさらに悲惨な感じになっている。
白く剥げてきたところは上から色味の違うピンクのスプレーを掛けて上塗りしているのでちょっと見苦しい。
でも壁さえ気にしなければ、あとはなかなか庶民的で親しみやすい銭湯。
入浴客も沢山入っていた。
地元の人はもちろん、城山展望台や西郷隆盛洞窟に近い場所柄、結構観光客も立ち寄るのではないかと思われた。
入ると右側に浴槽で左側に洗い場がある。
浴槽は長方形のものが手前に、半円系の岩風呂が奥に。その他長方形の浴槽のさらに手前にサウナがある。
長方形の浴槽は手前の一部が仕切られていて、仕切られたスペースに打たせ湯が設置されている。
ここのお湯はわりかし熱い。が、奥の岩風呂はもっと相当に熱い。
岩風呂からあふれてくるお湯が床に流れていて、そこを歩くだけであちちと思うくらい熱い。
色は無色透明。においもほとんど感知できず。
顕著なのは肌触り。オイルを塗ったみたいにするするする。みどり荘の内湯ほどではないけど、十分特徴的だ。
そして熱い岩風呂の縁の岩にはとげのない丸い形の析出物がいっぱいついていた。