温泉に入った後はあたたまっているが、やはり寝る前には冷えてきた。
みどり荘のサービスに、希望すれば湯たんぽをご用意しますとあったので、頼んでみた。
湯たんぽは寒い夜にとても効く。
新潟の貸民家で一度利用して利用してよーくわかった。
足元にほかほかの湯たんぽがひとつあるだけで、どれほど頼りになるか、幸福感が味わえるか。
パパは大浴場は明日の朝に入ってみると言ったが、私は一人で寝る前に訪れた。
この浴室は広い窓の外が池で、男湯はそのまま池が見えるようだが、女湯は窓ガラスに目隠しが貼ってあるのでいまひとつ見づらい。
もちろん今は家族風呂の時同様、真っ暗なので窓の外は関係ないが。
入ったのが夜なので、浴室の灯りがついていてもあまりよくお湯の色までは見えなかった。たぶん無色透明。
ここは珍しい黒い湯の花が特徴だと女将さんが言っていたが、家族風呂でも大浴場でもほとんど湯の花が見つからなかった。
結局浴槽中を桶で探し回って、ようやく小さな羽毛のような黒いものをいくつか捕獲して満足した。
夕方の露天風呂はあんなに混雑していたのに、夜になったらどのお風呂でも誰にも会わなかった。
脱衣所で整理整頓していた仲居さんに会っただけだった。
「おやすみなさい」
にっこり笑ってドアを閉める。
いい夢が見られそう。