石畳の坂の上に日本秘湯を守る会の提灯が下がった瓦屋根の門がある。
武家屋敷とか、小ぢんまりとしたお寺の入り口のようだ。
荷物を持ってその門を潜ると、左手に受付棟。奥に藤棚が見えた。
受付棟の中はストーブがついていて温かかった。
中に男性客が一人いたが、どうやら日帰りのよう。
ちょっと料理研究家の平野レミに雰囲気の似た女将さんがすぐに出てきて受付をしてくれた。
全室離れと言うけれど、離れに泊るなんて初めてかも。
どんな感じなのかドキドキする。
女将さんの後に付いていくと、すぐ目の前に緑色の池があった。
あっ、いや、ここは湖畔の宿みどり荘なんだから、池じゃなくて湖という認識でいいのか。
白いアヒルが三羽一列になって泳いでいる。
表示板が立っていて、湖際を行くと大浴場、家族湯、露天風呂、観音堂方面、左に入ると宿泊棟のようだ。
日帰りのお客さんはここを右に行くのだろうが、私たちは泊るので左だ。
みどり荘の温泉では複数の源泉を使用している。
男女別の内湯や家族風呂は、近くの公衆浴場でも使われている管理源泉に独自源泉(露天風呂の源泉とは別)をミックスしたもの。黒い湯の花はちょっと珍しいんですよと女将さんが言う。
そして露天風呂は敷地内の庭から湧く自家源泉のみ使用。
大浴場のお湯もいいけれど、独自源泉の露天風呂はぜひ入ってくださいねと強く勧められた。