大浴場の隣に窓の方を向いたソファーがあり、そこでちょっと休んでから部屋に戻った。
ソファーには親族の集まりでこの宿に泊まっているという関西からの女性が先にくつろいでいて、つらつらと世間話をしたが、やっぱり九州の温泉は関西からのお客さんが圧倒的に多いな。
東京から来たって言うと、遠いねって言われる。
本当はここで夕食をはさむところだが、さっき決めたように先に貸切露天風呂だ。
6時少し前にフロントに行くと、もう一組の夫婦がやっぱり同じようにやってきてフロントでお風呂の受付をした。
貸切露天風呂は二つあり、私たちともう一組が同時刻の予約なのだ。
貸切露天風呂がどこにあるのかはわかっていた。
私たちの部屋から廊下に出るとき、廊下の窓のロールカーテンの隙間から外を見たら、ちょうど眼下真正面に露天風呂の入り口が見えたのだ。
展望大浴場に行くときだったからまだ黄昏時で、赤ちゃんを抱いた若い夫婦がそこに案内されていくところだった。
多分、プランのおまけで貸切露天風呂が付いてきた私たちは自動的に夕食前後の夜が指定されるが、自主的に貸切を申し込んだ人は夕方3時以降自由に時間帯が選べるのだ。
ちなみにこの貸切露天風呂、貸切タイムが終わる夜の7時からは普通の男女別の露天風呂として使われる。
そして残念ながら夜中の0時以降翌朝もずっとクローズしている。
露天風呂は離れの雰囲気があり、入り口は和風で洒落ている。
ただ、露天風呂のネーミングは「でいご」と「ぶーげんびりあ」と、和風と言うよりも南国リゾート風。
私たちが入ったのは右側の「ぶーげんびりあ」だった。
暗い中で見ているわけだが、まだ新しい作りに見えた。つい最近作られたふう。
場所が海側ではなく、宿の後ろ側、つまり宿の建物から見て海と反対側なのでもちろんお風呂からも海は見えない。桜島も。
脱衣所も凝っていて、アンティークっぽい家具など置いてある。
露天風呂は、夜は男女別露天風呂として使用するだけあって貸切で使うにはもったいないぐらいに大きい岩風呂だった。
向かって右手にブーゲンビリアの木が植えてあり、その枝が露天風呂の上まで張り出している。
露天風呂に入りながら手を伸ばせばひらひらとしたブーゲンビリアの花に触れそう。
たぶん隣はデイゴの木が植えてあるんだろう。
雰囲気の良い岩風呂だと思うが、残念ながら夜なので全体はうすぼんやりとしか見えない。
多分お風呂の中央に柱があるから屋根が付いていると思うし、外からのぞかれないよう全体が囲われていると思う。でも暗いとそういうのもよく見えない。
温度はどちらかというぬるめで、のんびり入るのに適していた。
45分という貸切タイムは十分すぎるほどで、時間全部を使い切る前にそろそろ上がろうという気になった。
貸切露天風呂の隣にこれからいかにも何か作ります的な空き地があった。
パパは宿はもっと貸切風呂を増やすつもりなんじゃないと言っていたけど、どうなんだろうね。