子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★☆☆ 塩分が濃いので長湯に注意
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッドあり、有料だが貸切露天風呂あり
子連れ家族のための温泉ポイント
指宿温泉で海の見える宿に泊りたいと思って、こらんの湯錦江楼を選択した。
ここはメタケイ酸の多い美人の湯と、錦江湾から臨む桜島の景観が売りだ。
共同浴場に「こらん(河原)湯」があるように、鹿児島弁では河原が訛って「こら・こらん」になるようで、こちらの源泉は河原湯(こらんゆ)7号なので、こらんの湯と呼ばれているようだ(ちなみに共同浴場のこらん(河原)湯で使用されているのは河原湯8号源泉。錦江楼の源泉もこの近くから引いている)。
途中立ち寄った共同浴場の村乃湯を出て15分ぐらいで、宿泊するこらんの湯錦江楼に着いた。
時刻はまもなく夕方の5時で、空は水色と茜色の入りまじった水彩絵の具のような儚い色をしている。
周辺には背の高い椰子の木が植えてあって南国イメージを前面に押し出した宿らしい。
規模はそこそこ大きく、個人客よりも旅行会社のツアーで行くような旅館というイメージを勝手に持っていたが、入口から一歩入ったロビーは思っていたよりもずっと立派だった。
部屋は低層だったが窓からは錦江湾が見える。
手前に海。左端に桜島が見えて、中央から右側は大隅半島の山々だ。
到着したらとりあえずお風呂。
桜島や海の見える露天風呂は無いものの、大浴場は桜島と海が見える展望風呂というのが錦江楼の触込みなので、やはり日が完全に落ちる前に入っておきたい。
大浴場は5階。
海に面した広い窓があり、晴れていたら桜島もどれだかはっきりわかると思うが、今日の天気と時間はそれを楽しむには少し適さなかった。
といっても桜島の島影は、広い窓の中央左に見えている。
自由にシャンプーとコンディショナーが選べるシャンプーバー備え付け。
一方、一番端の洗い場のシャワーのライトは壊れたままガムテープかなんかで補修してあっていまいち。
この辺、宿の方はたったこれだけのことでどれだけ雰囲気が落ちるか気づいてないところが勿体ない。
温度はほどよく適温。ただ、夜に入りに来た時はもうちょっと熱めだった。その場合も入ってしまえば熱さはあまり感じない程度だったが。
塩泉にありがちな渋めの緑の濁り湯。
濁りは強く、鎮めた膝もうっすらとしか見えない。
においは特に感じないが、お湯の流れる床などは赤茶色に染まっている。
浴槽の縁には析出物でとげとげした部分もあり、うっかりそういう所に座ってしまうと痛たとなりかねない。
肌触りは強いきしつきもあるがとにかくぺとつく。何かと海っぽい印象のお湯。
色がはっきりしていて温泉らしさは強いが、鮮度感は村乃湯で感じたようには無い。
代わりにずしっとした重さを感じる。
美人の湯をうたっているだけあって、湯上りはかさつきはあるもののすべすべする感触が顕著。
夕刻の大浴場からの眺めは良かった。
だんだん日が暮れて、窓の端に遠く鹿児島市内の街の灯りや漁火が・・。
さて、貸切露天風呂がセットになった宿泊プランで申し込んでいたため、夕食前にこちらに入った。
6時少し前にフロントに行くと、もう一組の夫婦がやっぱり同じようにやってきてフロントでお風呂の受付をした。
貸切露天風呂は二つあり、私たちともう一組が同時刻の予約なのだ。
貸切露天風呂がどこにあるのかはわかっていた。
私たちの部屋から廊下に出るとき、廊下の窓のロールカーテンの隙間から外を見たら、ちょうど眼下真正面に露天風呂の入り口が見えたのだ。
展望大浴場に行くときだったからまだ黄昏時で、赤ちゃんを抱いた若い夫婦がそこに案内されていくところだった。
多分、プランのおまけで貸切露天風呂が付いてきた私たちは自動的に夕食前後の時間帯が指定されるが、自主的に貸切を申し込んだ人は夕方3時以降自由に入浴時間が選べるのだ。
ちなみにこの貸切露天風呂、貸切タイムが終わる夜の7時からは普通の男女別の露天風呂として使われる。
そして残念ながら夜中の0時以降翌朝もずっとクローズしている。
露天風呂は離れの雰囲気があり、入り口は和風で洒落ている。
ただ、露天風呂のネーミングは「でいご」と「ぶーげんびりあ」と、和風と言うよりも南国リゾート風。
私たちが入ったのは右側の「ぶーげんびりあ」だった。
暗い中で見ているわけだが、まだ新しい作りに見えた。つい最近作られたふう。
場所が海側ではなく、宿の後ろ側、つまり宿の建物から見て海と反対側なのでもちろんお風呂からも海は見えない。桜島も。
脱衣所は凝っていて、アンティークっぽい家具など置いてある。
露天風呂は、夜は男女別露天風呂として使用するだけあって貸切で使うにはもったいないぐらいに大きい岩風呂だった。
向かって右手にブーゲンビリアの木が植えてあり、その枝が露天風呂の上まで張り出している。
露天風呂に入りながら手を伸ばせばひらひらとしたブーゲンビリアの花に触れそう。
雰囲気の良い岩風呂だと思うが、残念ながら夜なので全体はうすぼんやりとしか見えない。
多分お風呂の中央に柱があるから屋根が付いていると思うし、外からのぞかれないよう全体が囲われていると思う。でも暗いとそういうのもよく見えない。
温度はどちらかというぬるめで、のんびり入るのに適していた。
45分という貸切タイムは十分すぎるほどで、時間全部を使い切る前にそろそろ上がろうという気になった。
貸切露天風呂の隣にこれからいかにも何か作ります的な空き地があった。
夫は宿はもっと貸切風呂を増やすつもりなんじゃないと言っていたけど、どうなんだろうね。
夕食後、お風呂に行こうと思って、ふとまた廊下でロールスクリーンの隙間から外を見たら、いつの間にか激しい雨が降っていた。
露天風呂はさっき貸切で十分堪能したので元々大浴場の方に行くつもりだったけど、この雨では誰も露天風呂には行かないだろうなと思った。だってお風呂自体は屋根が付いているが、お風呂までのアプローチで外を通るので。
誰もいない露天風呂の周囲はただライトアップされて雨を写していた。
雨にぬれたデッキがライトの灯りを反射して、ただきらきら光っていた。