さっき書いたように内湯の浴槽は三つある。
そのうち真ん中の混合泉は夕方は入らなかった。
正直、源泉を混ぜちゃうのはランク下みたいな先入観があったから。
これがとんでもない間違いだったと知ったのは夜にここに入ってからだった。
かき混ぜちゃったとしたら良さは失われるかもしれない。
でもね、ここ、そろそろと両側から注ぎいれられるので、なんと両方がいっぺんに味わえるという極上の体験ができる。
浴槽の縁の木に頭を乗せて、横向きで混合湯の浴槽に横たわるとね、背中から腰に掛けて熱い硫黄泉がとろとろと流れてきて、 胸からお腹に掛けてひんやりした微炭酸泉がゆるゆると包み込んできて、両方のお湯の流れがそのまんま感じられる。
そしてそのおかげでのぼせることも無く、寒すぎることも無く、体温プラスアルファの極上の温度になって、 30分でも1時間でも入っていられそう。
やばいよ、これはやばい。抜けられなくなる。
たまに寝返りを打つみたいに向きを反対側にしてみたりしてね。 さらにそれでものぼせてきたら、腕だけを冷たい微炭酸泉の浴槽に入れるわけ。
冷や~と気持ち良くて、微炭酸泉のお湯を抱えるようにするとそれがそのまま胸のあたりに流れ込んできてね、 極楽なんだね。ほとんど禁断の温泉だ。
私が入っている間に従業員が2人来て体を洗ったり入ったりしていったけど、そのあいだ中私は入っていて、 とにかく全体としてはほとんどこの浴室独占状態で、この湯之谷山荘の内湯で長い時間過ごせただけで鹿児島来た甲斐があると感じた。
いや、本当に霧島湯之谷温泉に泊って良かったよ。
ああもう出たくない、ここから。