子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ お湯は熱めなので注意
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★☆☆
子連れ家族のための温泉ポイント
霧島湯之谷山荘への道は、最後の数百メートル、県道を外れてかなり細い山道を登って行く。
これは悪天候の時怖いかもなぁと思ったが、事実二日前は降雪で大変だったらしい。
そして宿に入る時には道は鋭角に曲がらざるを得ず、「キャンピングカーの駐車場への入り込みは無理のようです」と手書きで書かれた黄色い貼紙を読むまでも無く、大きな車は入れなさそう。
建物の外観はだいたい想像していた通り。
いかにも山の宿という感じ。派手な雰囲気は微塵もない。駐車場に車を停めると賢そうな日本犬が一匹様子を見にやってきて、そこへちょうど宿の人の車だろうか、一台停まって女性が下りると、わんちゃんは嬉しそうにその人にくっついてちょこちょこと歩き出した。待ちわびたよと言わんばかり。
ロビーも山小屋風。窓際に木のテーブルとベンチが置いてあるほか、隣室は休憩室になっていてソファーや暇つぶしの本や漫画も置いてある。
日帰り入浴の時の休憩だけでなく、天気が良くないときに連泊しても退屈しないようになっている。
宿泊の場合は受付時に露天風呂の予約ができる。無料で30分間。なお、日帰り入浴の場合も追加料金で利用可能。
部屋もシンプルだけど清潔。置いてあるテレビはかなり小さ目。
障子を開けても窓の外は何が見えるわけでも無い。ちょうどすぐ下が駐車場だからだ。
冷蔵庫は無かったので、持ってきたお茶のペットボトルなどは窓の外の柵の上に置かせてもらった。
何故か洗面台だけが陶器で凝っている。
笑ったのは洗面台の鏡の上部に「タオル掛は頭上にあります」と手書きの紙が貼ってあったこと。どういう意味だろうとそれを読んだ夫が数歩後ろに下がって納得した。鴨居と窓枠のところに木の枝みたいな棒が渡してあって、そこにタオルが掛けられるようになっていた。
もちろんこの他に、金属の折り畳み式の普通のタオル掛けも部屋に置いてあったが。
露天風呂はチェックインして一番早い時間帯の予約を入れたので、荷物を置いたらすぐにお風呂だ。
予約時に「貸切中」と書かれた木の札を渡されているので、これを露天風呂の入り口に掛けて入浴するシステム。
指定の場所に札を掛けて露天風呂に続く小路に出ると、石段のところに「露天風呂(天狗湯)」と札が貼ってあって、右手を見ると簡易な祠のような屋根の下に赤く塗られた木彫りの天狗の顔が置いてあった。
6段程度の石段を昇ると小さな露天風呂がある。
大きさは思ったより小さい。
日帰りの人がオプション料金を払ってまで入る価値があるかは微妙かもしれない。あっ、でもカップルや家族連れは貸切の方がいいからそうも言いきれないか。
脱衣棚があるだけの簡単な作りだが、黄色いケロリン桶が置いてある。
綺麗な緑がかった白い濁り湯。段差になったところがうっすら透けて見える。
濁りは強いが粉っぽい。お湯の中をじっと見ると粉が沢山舞っていて、それが光を反射している。
臭いはマッチを擦ったような感じ。熱めだけど熱すぎない温度。寒い日にはちょうどいい。
肌触りは入った時はそれほど感じないが少し経つと肌がきしつく。
そうそう、あんまり見晴らしがいいって感じじゃないが、一応ぎりぎり湯船から木立の間の山も見える。
よって、入るならやっぱり夜よりも明るいうちがお勧め。
山に夕日。遅い紅葉が照り映える。
内湯の脱衣所は細長くて、お風呂に続くとは開いていたのでそっとのぞくとおばあちゃんが一人入っていた。
誰かいたら後にしようと思っていたが、内湯を見ていたらやっぱり入りたくなった。
とりあえず軽く浴びちゃうか。後でまたゆっくり入ればいいし。
湯治場風の雰囲気を持つ少し薄暗い浴室だった。
四角い木の浴槽が三つある。手前から微炭酸泉、混合泉、硫黄泉と壁に貼ってある。
真ん中の混合泉は両側の微炭酸泉と硫黄泉から溢れた湯が流れ込んで混ざるようになっている。
まず硫黄泉から入ってみた。
硫黄泉はかなり熱かった。でも入れないほどではない。
ちなみに女湯の硫黄泉はいつ来ても熱いながらも普通に入れる温度だったが、後からパパに聞いた話では、男湯の硫黄泉はとんでもなく熱かったとか。
霧島湯之谷山荘のお風呂は非加熱非加水の源泉をそのまま使っているので、パイプでの引き方や浴槽への投入量で違いが出ているのだろう。
ちょっと酸っぱいにおいと火薬のにおいがする。コップがあったので飲んでみると、味は少し酸味があってじゅわっとする感じはごくごく弱い。
色は綺麗な白濁で粉っぽい。露天風呂と同じ感じだ。
一方、微炭酸泉はかなりひんやりする。
この時は何とか入れたが、その後、夕方、夜や翌朝に入ろうとしたときは冷たすぎて足だけしか入れられなかった。
私は冷たい温泉がとても苦手なのだ。
微炭酸とはいうものの、泡はごくごくわずか。
硫黄泉同様粉っぽい白濁湯だが、白濁具合は硫黄泉よりかなり薄い。しかし湯の花の粉の量は同じくらいで、しかももっと大きな湯の花も多く、入ると下からうようよと舞い上がってくる。
こちらもはっきりした火薬臭。 とても寒い日だとこの微炭酸泉の浴槽はお湯が抜かれていることもあるそうで、ちょうど二日前に訪問した遮光土偶さんによると雪の降ったその日はお湯が入っていなかったとのこと。
先に入っていたおばあちゃんはすぐに上がってしまって一人きりだった。
お湯の流れる音以外静かだ。
さっき書いたように内湯の浴槽は三つある。
そのうち真ん中の混合泉は夕方は入らなかった。
正直、源泉を混ぜちゃうのはランク下みたいな先入観があったから。
これがとんでもない間違いだったと知ったのは夜にここに入ってからだった。
かき混ぜちゃったとしたら良さは失われるかもしれない。
でもね、ここ、そろそろと両側から注ぎいれられるので、なんと両方がいっぺんに味わえるという極上の体験ができる。
浴槽の縁の木に頭を乗せて、横向きで混合湯の浴槽に横たわるとね、背中から腰に掛けて熱い硫黄泉がとろとろと流れてきて、 胸からお腹に掛けてひんやりした微炭酸泉がゆるゆると包み込んできて、両方のお湯の流れがそのまんま感じられる。
そしてそのおかげでのぼせることも無く、寒すぎることも無く、体温プラスアルファの極上の温度になって、 30分でも1時間でも入っていられそう。
やばいよ、これはやばい。抜けられなくなる。
たまに寝返りを打つみたいに向きを反対側にしてみたりしてね。 さらにそれでものぼせてきたら、腕だけを冷たい微炭酸泉の浴槽に入れるわけ。
冷や~と気持ち良くて、微炭酸泉のお湯を抱えるようにするとそれがそのまま胸のあたりに流れ込んできてね、 極楽なんだね。ほとんど禁断の温泉だ。
私が入っている間に従業員が2人来て体を洗ったり入ったりしていったけど、そのあいだ中私は入っていて、 とにかく全体としてはほとんどこの浴室独占状態で、この湯之谷山荘の内湯で長い時間過ごせただけで鹿児島来た甲斐があると感じた。
いや、本当に霧島湯之谷温泉に泊って良かったよ。
ああもう出たくない、ここから。