パパはこれで上がって部屋で休むと言っていたが、私は内湯も見てみたかった。
でもって、内湯に先客がいなければ入っちゃおう。
内湯の脱衣所は細長くて、お風呂に続くとは開いていたのでそっとのぞくとおばあちゃんが一人入っていた。
誰かいたら後にしようと思っていたが、内湯を見ていたらやっぱり入りたくなった。
とりあえず軽く浴びちゃうか。後でまたゆっくり入ればいいし。
湯治場風の雰囲気を持つ少し薄暗い浴室だった。
四角い木の浴槽が三つある。手前から微炭酸泉、混合泉、硫黄泉と壁に貼ってある。
真ん中の混合泉は両側の微炭酸泉と硫黄泉から溢れた湯が流れ込んで混ざるようになっている。
まず硫黄泉から入ってみた。
硫黄泉はかなり熱かった。でも入れないほどではない。
ちなみに女湯の硫黄泉はいつ来ても熱いながらも普通に入れる温度だったが、後からパパに聞いた話では、男湯の硫黄泉はとんでもなく熱かったとか。
霧島湯之谷山荘のお風呂は非加熱非加水の源泉をそのまま使っているので、パイプでの引き方や浴槽への投入量で違いが出ているのだろう。
ちょっと酸っぱいにおいと火薬のにおいがする。コップがあったので飲んでみると、味は少し酸味があってじゅわっとする感じはごくごく弱い。
色は綺麗な白濁で粉っぽい。露天風呂と同じ感じだ。
一方、微炭酸泉はかなりひんやりする。
この時は何とか入れたが、その後、夕方、夜や翌朝に入ろうとしたときは冷たすぎて足だけしか入れられなかった。
私は冷たい温泉がとても苦手なのだ。
微炭酸とはいうものの、泡はごくごくわずか。
硫黄泉同様粉っぽい白濁湯だが、白濁具合は硫黄泉よりかなり薄い。しかし湯の花の粉の量は同じくらいで、しかももっと大きな湯の花も多く、入ると下からうようよと舞い上がってくる。
こちらもはっきりした火薬臭。 とても寒い日だとこの微炭酸泉の浴槽はお湯が抜かれていることもあるそうで、遮光土偶さんによると雪の降った二日前はお湯が入っていなかったとのこと。
先に入っていたおばあちゃんはすぐに上がってしまって一人きりだった。
お湯の流れる音以外静かだ。