そのあと道は二手に分かれる。
右が霧島神宮方面で、左がえびの高原方面。
この頃から木々の奥に何か不穏な雰囲気のする山が見え隠れし始める。新燃岳だ。
まだチェックイン時間には早かったので、昼食は諦めて、お風呂だけもう一ヶ所寄っていくことにする。
目的地は新湯温泉 霧島新燃荘。
2011年の新燃岳噴火に伴い一時休業を行っていたが、2012年の夏から営業を再開、現在に至る。
途中の道は遮るものも無くバーンと新燃岳が見えるので、これは流石に新燃岳噴火時は無理だろうと思われる。
今も噴煙が上がっているのかもしれないが、頂上の辺りは雲に隠れて見えなかった。
そして道を下って谷間に建てられた新燃荘まで来ると、近くにそびえているはずの新燃岳はまったく見えなくなってしまった。
駐車場でパパは入らないよと言った。
えーっ、何で? きっとパパの好きなタイプの白濁硫黄泉だよ。
「さっきの南洲館のお風呂が良すぎてさ、ノックアウトされた。それでちょっと湯疲れしたみたい」
そうなの? もったいない。私なんてあの手のお湯はますます元気になってもっともっと入りたくなるのに。
ずっしりと重い塩泉はあまり沢山入れないけど。
駐車場から細い川の向かいに三角屋根の湯小屋が建っているのが見えた。
川は護岸が固めてあるが、段差に作られた人口の滝の部分が硫黄成分で真っ白に染まっているのがわかる。湯気などは特に上がっているようには見えないが、温泉が流れているんだろう。