みんなにぜひ行けぜひ入れと言われていた妙見石原荘の温泉に思いのほか早く入れたので、この後どうするかはまったく考えていなかった。
今夜の宿泊は霧島の湯之谷山荘だが、さすがにそちら方面に行くには早すぎるし。
「ループ橋でも見に行く?」
「ループ橋?」
「えびの人吉を結ぶ221号線に二本のループ橋があるんだよ」
どうもパパは昔、熊本に住んでいた時代に自転車で鹿児島に来て、その時にこのループ橋を通ったことが思い出になっているらしい。
それで、他に何をするというわけではないのだが、いきなり北上してループ橋を見に行くことになった。
えびの市は宮崎県だし、人吉市は熊本県なんだが、何故か鹿児島旅行に来て宮崎県と熊本県をちょっとだけかじりに行くことに。
ループ橋と言えば一気に高度を上げるために作られる。
つまり二本のループ橋があるってことは、その二本に挟まれた道路が高所を通っているということか。
実際に行ってみて実感できた。
第一のループ橋を通って高度を上げると、なんと道の端に雪が!?
妙見石原荘を出た時には真っ青な空がのぞいて何やらぽかぽかと急に気温も上がってきたと感じたのに、いきなりえびのは真冬だ。
太陽はすっかり隠れて山にも幾重にも雲のベールが掛かっている。とにかく寒い。
鹿児島は晴れでも、宮崎・熊本は曇り・・ちらちらと雪も舞っているような。
でもって本当なら景色の良いコースらしいのに、曇っているので遠方は特に何も見えず。
本当に二つのループをぐるぐると回ってまた戻ることになった。
でもせっかく北上したのだから、えびの市で一ヶ所温泉に入って行こうと考えた。
市内を走ればどこかお昼ご飯を食べるところも見つかるよね?
そろそろ・・・いやかなりお腹が空いてきた。
時刻は12時半近い。
ところが幹線道路や田舎道を走っても走ってもラーメン屋ひとつ見つからない。
今めざしているのは吉田温泉郷の亀の湯というところ。
場所は・・そうだなぁ、えびのループ橋のほぼ真西。といっても道路はいったん221号線と268号線が分かれる三叉路まで戻り、それから北西に向かうコースだが。
もう一ヶ所、京町温泉郷亀沢温泉亀沢共同浴場(こっちも亀だ)というところも候補に考えていたのだが、こっちは電話番号が判らなかったので吉田温泉郷の亀の湯を選んだ。電話番号さえわかればカーナビで探しやすいから。
ところで本当に一軒も食べる店が見つからなかった。観光客の通る道じゃないにしても、地元の人も全然外食しないのかと不思議になるほどに。
そしてすきっ腹を抱えたまま、亀の湯に到着した。