伊豆高原日記 秋の海へGO 二日目


10月20日(日)

 昔は町田に住んでいたこともあって、箱根伊豆というのはかなり近い場所だった。だから友達や職場の人たちと、何度か東伊豆に来たことがあった。
 その分西伊豆というのは遠くなかなか来られず、ダンナと知り合ってからやっと三度ほど西伊豆に来たが、ふと気がつくと意外なことにダンナと東伊豆に来たのはこれが初めてだった。
 海に沈む夕日を見られる西伊豆にも景勝地は沢山あるが、東伊豆の海沿いというのは城ヶ崎に代表されるようなダイナミックな景観が多い。
 海沿いの道は、西伊豆よりトンネルが多い分、カーブが少なく走りやすい。


 昨日の朝が早かったから、今日はゆっくり朝寝坊。
 同じ場所に二泊すると、チェックアウト時間を気にせずのんびりできるのが嬉しい。
 宿を出たのは9時半を過ぎてからで、昨日だったらもうミカン狩りを済ませているような時間だ。

 夜のうちにかなり雨が降ったらしく、朝は地面も濡れそぼっていたが、朝にはすっかり上がっていた。
 海沿いの道を熱川、稲取といくうちに、薄日も差してきた。
 天気が良いとはいえないが、予報で雨と聞いていただけに、青空が見えるとそれがわずかでもとても嬉しい。

 今井浜を過ぎて、河津から海と離れる。
 本当は天城湯ヶ島の湯本館に行って川沿いの露天風呂に入ってみたかったが、天気が悪い日に子供を遊ばせるところはどこだろうと考えて、大滝温泉 天城荘を選ぶことにした。
 レナに、今日、どこに行きたい?と聞くと、「おまつりのプール」
 おまつりのプールって何だろう(笑)。
 まあ、プールみたいな温泉で許して。



 伊豆というと海のイメージが強いが、ちょっと内陸に入ると山も深い。
 ところどころ紅葉も始まっている。

 大滝温泉 天城荘は、水着で回れる混浴露天風呂が20以上もあるので有名だ。特に最奥の河原の湯は、河津七滝のうちで最も大きな大滝を見ながら入れる開放感抜群の露天風呂だ。

 宿泊者と昼食プラン(2,500円で入浴、ランチ、休憩)の客は旅館の駐車場が使えるが、立ち寄り入浴のみの場合は、少し離れた専用駐車場に車を停める。看板はあるが、判りにくく一度行き過ぎてしまった。金網があってテニスコートだと思ったのだが、それが駐車場だった。

 急な階段を下りて、立ち寄り入浴専用の受付に行く。その建物に更衣室と待合室があって、立ち寄り客はそこで水着に着替えることになる。
 水着「でも」回れる温泉だと思っていたが、水着で回ることが「基本」の温泉だったらしい。混浴なので水着着用にご協力くださいと張り紙がある。水着やタオルやバスローブのレンタルもある。敷地はかなり広いので、夏場以外は防寒にバスローブも便利かもしれない。

 脱衣所は駐車場やお風呂の規模から考えると狭い。小さいが木の長方形の長いすがひとつあったので、赤ちゃんはそこで脱がせるしかないが、そもそもこのお風呂は赤ちゃん向きではない。階段が長く急で危険だからだ。


 水着の入浴客と、着衣の大滝見物客と、入り口こそ別だが、途中の階段は共通なので、なんだか変な感じ。なるほどこのロケーションじゃ、タオル巻きだけでは厳しいな。


 入り口の案内図では、25mプールのほかに、子供用プールがあると書いてあったが、どうもどこだかよく判らない(こどもプールは「夏休みのあいだだけプールの横の池を掃除してお子さま用プールとして利用しているので期間限定のものです」と、後で天城荘の女将さんに教えていただきました)。
 お風呂とお風呂を繋ぐ遊歩道は、森林浴にも良いが、季節柄、水着だと少し寒い。
 

 五右衛門の釜風呂もある。七つ並んで、七滝それぞれの名前がついている。


 
 階段を一番下まで下りたら、25mプール。この青い底の色が秋の山の渋い景観から浮いているが、プールを見つけた子供たちは大喜び。
 早速腕につける浮き具を膨らませてやると、深さも気にせず(深いところは1.5mもある)おおはしゃぎ。

 パパ、見てて。飛び込むよ。せーのっ…ばっしゃーん!!

 プールの正面に小さな岩風呂もあるので、大人はお風呂につかりながら、プールで遊ぶ子供たちを監視することもできる。
 プールの湯はぬるめだが、一応温泉を使っている。トイレや更衣室も併設されていて、夏場は賑わうのだろう。奥まで行くと、河津川の澄んだ流れもよく見える。

 子供たちはまあよく遊んだ。
 いやはや、プールだけでどれだけいただろう。
 特にカナはこのプールがとても気に入ったらしく、何度もまた来たいと言っていた。



 プールから川沿いの道を少し歩くと、滝が見えてくる。



 こりゃあ凄い。
 本当に滝見の露天風呂だね。


 滝の見える河原の湯は、三段に湯船が並んで、最も滝に近いほうが一番熱く、だんだんぬるくなる。熱い湯でもここまで水着で歩いてきた身にはちょうど良いくらい。深さも浅くて子供にもちょうど良い。
 滝はマイナスイオンの宝庫だから、気分も上々。



 河原の湯の奥には秘湯穴風呂と書かれた洞窟風呂。入り口を行くと、まず男女別の脱衣所がある。ここで水着を脱いでもいいらしいが、女湯の脱衣所のドアは閉められないように固定してあるので、実際はここで脱ぐ人はいないように思う。
 男女別に分かれているのは入り口部分だけで、進んでいくとすぐ、道は合流しており、結局混浴になる。薄暗いので、湯は無色透明でもよく見えないかもしれないが、30mもあるという洞窟はとにかく細長いので、みんなただ突き当りまで行って引き返して出てしまいそうで、ゆっくり入っている場所ではない感じ。
 例によって子供たちは洞窟風呂は怖がって、早く出る出ると大騒ぎ。

 天城荘に来たのが午前11時ごろ。
 プールでかなり遊んだので、あがったときは1時を回っていた。
 お腹が空いていたので、天城荘の正面にある大滝庵という御食事処へ。
 
 天城といえば、
 パパは「しし鍋」
 私は「わさび」

 わさびを練りこんだおそばが美味しかった。おそばを二皿と雑炊を頼んだ。プールで遊んだ子供たちもぱくぱく食べる。
 ここで作っているという塩も色づいた葉の上に乗せて出してくれた。

 
 遊んだあとはお腹がすくよ。
 この塩もぱらぱらっと入れてみようかなー。

 案の定、帰りの車の中で子供たちは爆睡。
 他に寄りたいところ、見たいところがあっても、子供たちが寝てしまった時点で、子供づれは計画リセット。
 だから早めだけど今日の予定はこれでおしまい。
 戻ったら、また宿の温泉にゆっくり入りに行こう。
 稲取のあたりでは、雲の切れ間から陽がのぞき、海がきらきらと光っていたが、伊豆高原について寝ている子供たちを部屋に運び、ふと窓から外を見たら、にわかに空は掻き曇り、雨がぱらぱらと降ってきた。
 子供たちが寝るまで、空も雨を待っていてくれたのかな。


つづく


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