10月21日(月)
流石に今日は雨だった。朝から冷たい雨がしとしとと地面をぬらしている。
低気圧が太平洋側を通過するので、今日いっぱいは雨。夜にはあがって、明日は晴天の予報だというから、ちょっと悔しいかも。
温泉に泊まって、何が一番嬉しいといって、それは朝風呂ができること。
寝ぼけ眼のまま、ひと気のない浴室に行き、朝日を浴びながら熱い湯に身を浸すと、とたんにしゃきっと目が覚める。この感覚が好き。
温泉じゃないところや、キャンプ場ではこうはいかないね。
部屋に戻るとレナが目を覚ましていた。
一人が起きると、騒がしいのでもう一人もすぐ起きる。
姉妹でお絵かき。レナは何でもお姉ちゃんのまねっこ。おおい、ペンを持つ手が逆だぞー。
本当なら平日の今日、朝一番で初日にあきらめた黒根岩風呂に行こうと思っていた。けれどこんな荒天ではやっているかどうかも判らないし、第一あのロケーションはぜひとも晴れ渡った日に見てみたい。今回は潔くあきらめよう。
のんびりチェックアウトの準備。
宿の送迎バスも平日で暇だから、子供たちに中を見せてくれたりした。カナもレナもバスに乗せてもらって大喜び。
さて、伊豆高原には小さなミュージアムが沢山ある。
そのひとつ、伊豆テディベア・ミュージアムは、テディベア生誕100周年を記念して、伊豆高原の宿の印のある割引券を見せると、今月いっぱい小さなテディベアをお土産にくれるという。
これはいいかも。
早速向かってみた。
入り口にあるクーパーミニを運転しているのも等身大のクマ。
テディベアのテディとは、第26代米国大統領セオドア・ルーズベルトの愛称。
あるとき大統領が狩に出たが、獲物が何もなく、同行の猟師は小熊を捕らえてきて木に縛り、それを大統領に撃たせようとした。小熊を哀れんだ大統領は縄を解いて逃がしてやり、そのエピソードからぬいぐるみのクマ、テディベアは生まれたという。
伊豆テディベア・ミュージアムは、テディガールと呼ばれる有名なアンティークベアをはじめとする千体のベアと、三百種のベア関係展示品を公開している。
小さい子供にも楽しめるかなと思っていたが、ミニチュアのテディベアが書き物をしたり、首をふったりしているドールハウスに釘付け。
ミュージアムの規模は、ぐるりと見渡してそれで終わりくらいのサイズだが、子供や可愛いものが好きな人には楽しめると思う。
ここはトイレもテディベアの飾り付けで可愛らしい。木製のアンティークなオムツ換え台もあるので、赤ちゃん連れも要チェック。
これがお土産にもらったテディベア。
もっとちゃちなものをくれるのかと思ったら、とんでもない。とても可愛い顔をしているし、手触りもふわふわ。手足もちゃんと動くんだよ。カナとレナにちゃんとひとつづつくれたよ。良かったね。
伊豆テディベア・ミュージアムの後は、ねこの博物館に行こうと思ったが、どこをどう迷ったか、別荘地をぐるぐる回るばかりでついに辿り着けなかった。ペンギンの博物館はあったのに、何でだろう。
仕方ないのでこれで伊豆高原を後にすることにした。
国道135号線を行くと、一碧湖方面からの道と合流する辺りではかなり渋滞した。平日だというのに、流石は伊豆だ。
海沿いの道を伊東、宇佐美と過ぎて、網代で車を停めた。
このあたりは、いかにも漁業の町という感じで、民宿や干物屋が軒を連ねている。
あじろ温泉 磯料理・海辺の湯の宿 平鶴。
建物は四角張ったコンクリートで、風情は無い。
磯料理とか、露天・食事とか書かれた大きな看板が目に付く。入り口には何故か巨大なバイクが飾ってある。
お風呂と食事をお願いしたいのですがと伝えると、人数分の温泉タオルを持ってきてくれた。
立ち寄り湯の時間は11時半からで、今は11時45分だったが、浴室の入り口には「準備中」の灯篭がおいてあり、私たちに合わせて従業員の方が灯篭の向きを変えると、それは男湯女湯の表示になった。
内湯を経由して露天風呂に行くつくり。
露天風呂の扉を開けると、そりゃ凄い景色が待っていた。
湯船につかったまま、真正面に海だよ。視線をさえぎるものは何もない。
男湯は二面が海に面していて、木の柵がある(画像は上下とも男湯)が、女湯は一面が海に面していて柵は無い。どちらにしても絶景だ。
今日このとき、求めていたのは、海に来たのだから、湯船から海が見たい、冷えた体を温めてくれる熱くてさらりとした湯がいい、気持ちよく掛け流してほしい、雨だから屋根もほしいという、まことに我が儘なものだった。
にも関わらず、ここは理想的だった。今日、このお風呂にめぐり合えてよかった。
晴れた日に来たら、そりゃもう何も言うこと無しだろう。でも屋根がついているから、悪天候でも荒れた海が見えてそれはそれで楽しい。夜には星とともに、夜景が海に映りこんでそれも素晴らしいそうだ。
湯はかなり熱めで浴槽も深めだが、壁を背に座っても海が楽しめるように、壁側が一段階段状に浅くなっているので、子供でも大丈夫。
この深い浴槽も、膝を突いて淵に手を掛け、海が見えるようにきちんと計算されている。深いからこそ、柵が無くても身を乗り出して落ちることはないのだ。また女湯は男湯と違って一方向しか開けていないが、その分開放感が劣らないように、男湯との目隠しの境を斜めに取ってある。
ここは内湯も露天風呂も、湯口から流れ出る湯は、溢れた順に浴槽の淵からざんざんと掛け流されて落ちていくごくシンプルなしくみだ。
露天風呂の淵から流れる湯は、そのまま海へ落ちていく。
内湯は男湯の方が女湯の三倍くらい広くて、底に亀までいる。
亀に乗って、カナは浦島太郎気分?
女湯の内湯は広くは無いが、半分くらいが浅いつくりで、子連れにもありがたい。浅いところが気に入って、レナはなかなか出ようとしなかった。
露天風呂にも内湯にも、飲泉用コップがある。
飲んでみると、かなりしょっぱいとともに、それに負けないくらい苦味がある。海で泳いでいて、海水を飲んじゃったことを思い出すような味。でも海水のようにべたべたはしない、さらっとした感じだ。
お昼は、刺身盛り合わせ定食と、アジのたたき定食を頼んだ。
どちらも写真ではそんなに量があるように見えないけれど、たたきなんて食べても食べても減らない。これで1,500円はボリュームがあるよね。
今回の伊豆は天気が悪かった分、のんびりできた。
美味しいものも沢山食べたし、いい湯にも入れた。
一番行きたかった北川温泉 黒根岩風呂と、天城湯ヶ島温泉 湯本館には行かれなかったので、遠からず再訪しなくては、ね。
おしまい