子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★★ 泉質に刺激はなく、湯温は浴槽によってさまざまだが基本的にぬるめ
- 設備★★☆☆☆ 雰囲気★★★☆☆ 子供はとっても楽しめるお風呂
子連れ家族のための温泉ポイント
2023年元旦、天城荘火災のニュースを目にした。もう20年以上前の2002に子供を連れて日帰り利用して、当時の女将さんとメールのやりとりもして、長い時間が経った2022年に取材で再訪したばかり。取材時は撮影のみで入浴はできなかったが、またいずれと思っている所へ火災のニュースだ。
しかし、幸いにも1か月後の2月から日帰り入浴だけは再開したようだ。宿泊の方も再開することを祈って、とりあえず2022年の画像をいくつか貼る。その後ろに古い2002年のレポートを掲載しておく。
以下は2002年の子連れレポート。
伊豆半島の地図を見ていると、天城峠が小さな分水嶺になっていることに気づく。峠を境に北は半島の付け根に向かって狩野川となり駿河湾に注ぎ、南は河津川となり河津浜から相模灘に流れていく。
その河津川に沿って伊豆の踊子の歩いたという「踊子の道」が通っている。伊豆というと海のイメージが強いが、この辺りは山も深い。今でも閉鎖的な風習が残っているという土地柄なのだ。
その河津川が支流の荻ノ入川と出合う辺りに、河津七滝がある。上流から、釜滝、エビ滝、蛇滝、初景滝、カニ滝、出会滝、大滝と七つ。ここでは滝を「たる」と読む。滝の古い言葉、「垂水(たるみ)」から来ているそうだ。
大滝温泉 天城荘は、28のお風呂を巡る温泉として有名だ。立寄り利用でも、そのうち15の露天風呂に入浴することができる。
駐車場は、昼食プラン(当時のプラン設定)なら玄関前の駐車場が使えるが、立寄り湯のみの場合は、200メートル離れた専用駐車場に車を停める。ちょっと判りにくいがテニスコートのような金網の内側だ。
急な階段を下りて、立ち寄り入浴専用の受付に行く。その建物に更衣室と待合室があって、立ち寄り客はそこで水着に着替えることになる。
水着「でも」回れる温泉だと思っていたが、水着で回ることが「基本」の温泉だったらしい。混浴なので水着着用にご協力くださいと張り紙がある。水着やタオルやバスローブのレンタルもある。敷地はかなり広いので、夏場以外は防寒にバスローブも便利かもしれない。
脱衣所は駐車場やお風呂の規模から考えると狭い。小さいが木の長方形の長いすがひとつあったので、赤ちゃんはそこで脱がせるしかないが、そもそもこのお風呂はあまり赤ちゃん向きではない。階段が長く急で危険だからだ。
河津七滝最大の滝、大滝を見学する遊歩道の入り口が天城荘の少し先にあるが、露天風呂巡りのルートは、一部遊歩道と共通なのだ。
すなわち、水着の入浴客と、着衣の滝見物観光客が、同じ階段を下りることになる。なんだか妙な感じだ。水着でさえ妙なのだから、てぬぐいを垂らしただけの姿でいたりすると、もっと変な感じになりそうだ。何しろ滝見物客は次から次へとひっきりなしにやってくるのだから。
天城荘は水着着用を勧めて(お願いして)いるが、お風呂には違いないので、脱いではいけないとは書いていない。ただ、このロケーションでは勇気が要るだろう(一人だけ手ぬぐい一枚の男性を目撃)。
川沿いまで降りてしまえば、プール用の脱衣所や滝の横の建物、洞窟風呂の入り口などにそれぞれ脱衣できるところがあるので、階段は水着かバスローブ姿が無難だと思う。
入り口の案内図では、25mプールのほかにこどもプールの図もあるが、こちらは夏休みの間だけの期間限定でプール横の池を掃除して使っているとのことだ。
階段を下りていくと最初に目に付くのが子宝の湯、次が五右衛門風呂の釜風呂。
釜風呂は七つ並んでそれぞれ七滝の名がつけられている。滝の名前が書いてある楕円の板は蓋でちゃんと閉められる。蓋の根元に穴があり、そこから湯がでるとしても、どこから排水するのだろう? 湯は新鮮なのか泡がつく。
川沿いまで降りると、25mプールがあった。
青い底の色が渋い秋の山の景観から浮いている。が、プールを見つけた子供たちは大喜び。深いところは深度1.5mとある。浅いところでも1m以上はある感じ。子供たちにまったく足はつかなかったが、腕に空気を入れて膨らませる浮き具をつけてやると大喜びだ。泳いだり、飛び込んだり…他に誰もいなかったので一時間近く遊んでいたように思う。
子供をこのプールで遊ばせようと思う人は、浮き輪などの浮き具を忘れずに。
プールの横に小さな岩の露天風呂が二つあって、プールで冷えた体を温めることもできるし、親はお風呂に入ったまま、プールで遊ぶ子供たちを監視することもできる。プールの傍には更衣室やトイレも併設されている。
プールの湯は、夏は温泉ではなくて水、それ以外の季節は温泉が張られている(当時)。他のお風呂より温度は低く、またここだけは極わずかにカルキ臭がした。
プールから河津川に沿って小道を歩いていくと、やがて大滝が見えてくる。
大滝は七つの滝のうち、最も下流にあり、落差は27m。
ちょうど滝を眺めるのに良い場所に河原の湯という露天風呂がいくつか並んでいる。滝に最も近い三段の湯は、上から順にお湯が流れる仕組みで、湯の温度も違う。一番熱い浴槽でも、10月の肌寒い日にはちょうど良いくらい。
とにかく河原の湯から見る大滝は素晴らしい。ここに入るだけでも、天城荘に来る価値はあるだろう。
河原の湯はわずかににゅるっとくる感じ。臭いや味はほとんど無いが、湯上りはすべすべする。
滝の横に、秘湯穴風呂と書かれた洞窟風呂がある。
薄暗い中に入っていくと、二手に分かれて男女別の脱衣所がありここで水着を脱いだりできるようになっているが、女性用の入り口はドアを固定して閉まらないようにしてあるので、実際にここで脱ぐ人は少ないように思う。
男女別に分かれているのは入り口部分だけで、進んでいくとすぐ、道は合流しており、結局混浴になる。薄暗いので、湯は無色透明でもよく見えないかもしれないが、30mもあるという洞窟はとにかく細長いので、みんなただ突き当りまで行って引き返して出てしまいそうで、ゆっくり入っている場所ではない感じ。
例によって子供たちは洞窟風呂は怖がって、早く出る出ると大騒ぎ。
この洞窟は、浴槽として作られたものではなく、金鉱を掘った坑道なのだそうだ。金の後に湯が出るとはお後が宜しいことで。
天城荘のお風呂は大人より子供たちが喜んだ。5歳の娘は特にここのプールが大のお気に入りで、何度も、「また連れてきてね」と言っていた。
ファミリーやカップルで、ゆっくり遊ぶのに良い場所だと思う。
追記
プールの数が29から28に減った理由とこどもプールが夏休み限定であることは、天城荘の女将さんに教えていただきました。どうもありがとうございました。