18.第一滝本館の屋内温水プール
宿に戻ってからも気が付くと館内ですれ違う客たちの多くが日本語をしゃべっていなかった。
ここは日本なのか怖くなる。
考えてみると日本は長いデフレで苦しんだだけでなく、以前の様な団体旅行を好まなくなっている。
かくいう私も旅行は気楽に行きたいので団体旅行は好きじゃない。
しかしこんなご時世でも客の絶えない高級な人気宿は多い。
そしてそれらはどちらかと言えば隠れ家といったキーワードを好み、プライベートを大切にする。
一方、昔から沢山ある団体旅行客向けの大型旅館、観光ホテルなどは、いくら単発のお客さんを増やしたところでキャパシティーを埋めるには至らない。
求めるのはコアなリピーターではなく観光バスを横付けする大型の顧客だ。
日本人が来なくなった温泉地に中国や韓国の観光ツアーが入る。
双方にとって希望ががっちり満たされるから。
そうして九州、北海道、その他全国にわたって団体観光客で栄えてきた観光地から日本人客の姿が消える。
ほんの数年の間に様変わりしていく観光地。
あと10年経ったらどうなってしまうんだろう。
既に日本人が泊まりづらくなってしまったホテル、行きづらくなってしまった観光地も対馬をはじめとする九州には少なくないようだ。
さて、
第一滝本館でいいなと思っていたことの一つに屋内温水プールがあるというのもあった。
我が家の娘のうち一人は泳ぐのが大好きなのでね。
プールは脱衣所が浴室と共通。
客室からはまずロビーまで戻ってその前を通過し、豪華な廊下を建物の外壁に沿って進み短いエレベーターを降りて行った先。
プールは1階だが四方を囲われていて展望のない中に25mプールと遊戯用プールの二つがあり、遊戯用プールはスライダーが付いている。
このほかに隅の方にジャグジーがあった。
子供たちはそこで遊ばせておいて自分はさっさとお風呂に行った。
浴室はとてつもなく広い。全貌が見渡せないくらいだ。
ローマ風と言うのか高い天井をいくつもの太い柱が支えていて、中央に円形の大きな浴槽があり、周辺には中ぐらいの浴槽がそれぞれ趣を変えていくつもある。歩行浴やジャグジーやサウナもある。
もうちょっと詳しく言うと、1階にプールがあって2階が男湯、3階が女湯。でもって男湯も女湯も階段を下りて露天風呂に出るようになっている。
昔は混浴の露天風呂があったようだが今は完全に別浴。