◆◇レンタルキャンピングカーで北海道◇◆
北海道キャンプ旅行記
5.夕張と占冠間の高速道路
ただひたすら平らな大地を走っていたのがいつの間にか山が迫ってきて、夕張が近づいてきた。
夕張と言えばメロンの町、炭鉱の町、映画の町・・・
いやいや今や夕張と言えば破綻した町だ。
自治体が破綻するとか、全国ニュースで夕張破綻が流れるまでまでは考えたことも無かった。
夕張と言えば思い出すのは社会人になってすぐ、学生時代の友人と3人で北海道旅行をして夕張に立ち寄った時のことだ。
レンタカーを停めて降りてみると、地元のお祭りの真っ最中で、メロンを買うと、みんなどこから来たの?どこから来たの?と親しげに話しかけてくれた。
「東京都」って言うと、「都内から!?」とビックリされた。
いやいや都内じゃなくて都下だよって言っても通じなかった。
「都下ってどこ?」
「東京」
「じゃ都内だ」
いや、違うって。
東京に住んでいないと知らない可能性も高いが、東京都内には違いなくても23区外は都下と呼ばれてある種差別されているのだ(広義の意味では都内には違いないが)。
そして「何しに夕張に来たの?」って聞かれて「メロンが食べたくて」って言ったら笑われた。
「炭鉱もあるよ。良かったら炭鉱博物館も見てって」
その時に初めて夕張は炭鉱の町なんだと思った。
まだ夕張めろん城も無かった時代だ。
結局時間の関係で炭鉱博物館は行かなかったけれど、メロンはとっても甘くておいしかった。
二度目に夕張を訪ねたのは結婚してすぐ。
まだ子供がいなかった頃で夫婦二人で北海道を回った。
めろん城にも行った。
駐車場で野生のキタキツネを見た。
そして今回は通過しただけだ。
「夕張 紅葉山出口」という高速道路の表示板を過ぎてすぐ。
茶色く濁った夕張川沿いの山間のちょっと開けたところにぎしっと家が立ち並んでいた。
大きな建物はあまり無い。
あっという間に通り過ぎてしまって、夕張はこんなに小さな町だったんだと思った。
夕張を過ぎると高速道路はまっすぐ続いているのにカーナビは道路を見失って宙を浮いて走っているような表示になった。
真新しい道路はすぐに長いトンネルに入る。
その時ようやく理解した。
このカーナビは高速道路ができたことを知らないのだ。
「なんで? どう考えても札幌-帯広間・・・というか、札幌-道東間で夕張-占冠間が最も難所っぽい。つまり一番高速道路を作る必要性が高い区間だと思うんだけど、まさかそこ、最近まで繋がっていなかったとか・・・?」
そのまさかだった。
本当に知ったのは帰宅して調べてからだ。
高速道路が全線開通したのは2011年だった。
この区間が繋がっていなかった場合、そこから先の高速道路なんてほとんど意味が無いんじゃないか? だって町が離れていてどこまでもひと気の無い真っ直ぐな道路が続いているような北海道だよ。高速道路が必要なのは峠越えの山道とか、都市部の迂回ぐらいだろと思ったが、本当に2年前まで夕張-占冠間は高速道路も長いトンネルも無く、峠を越える一般道を行くしか手が無かったようだ。