6.お風呂で日没を見ようよ
そろそろ夕方になろうとしている。
パパは
レークサイドゆうすげに行こうかと言った。
もう榛名湖にも来られなくなるのだから、どこか行きそびれているところに行きたい気分だけど、でももう榛名湖に来られなくなるのなら、榛名湖温泉にこそ入れる時に入っておくべきなのかもしれない。
今日は本当に榛名湖から離れない日だ。
カナはお風呂に入るよりもっと遊んでいたくて、またどうせ最後なら温泉じゃなくても宿のお風呂に入っておきたくて、行かないと言った。
でももうじき日が暮れる。
もしかしたらお風呂の中から湖の夕焼けが見られるかもしれないよ、そう言ったら行きたくなったようだ。
「早く早く。間に合わないよ」
レークサイドの浴室には、塩のボディーソープや墨のシャンプーなどが備え付けてある。
カナもレナも塩が気になって、今日はこれで洗うと言い出した。
カナは大人しく洗ったが、レナはつぶつぶの感触が気に入らなかったらしい。途中でぎゃあぎゃあ騒ぎ出した。
それなら使わなきゃいいのに…。
今日のレークサイドは温めだった。いつもは最初だけ熱がる二人も大人しく入っている。少し重い機械油の様な臭いはあいかわらず。
他の客がみんな上がった隙に、窓を全開にしてみた。
湖を渡る風が吹き込んでくる。
カナが空がピンク色になってきたと言った。
ちょうど日没に間に合ったね。