子連れ旅行温泉日記
榛名湖日記ファイナル2-7
7.湖畔のともしび
空が暗くなってきたのでキャンドルに火を灯そう。
アイスキャンドルは冷凍庫を使うという邪道な手段を選んだものの、上手いこと完成したが、夕方作ったスノーキャンドルは既に下のほうがびちゃびちゃと融けかけていた。
あれほどパパが苦労して作ったのに。
仕方が無いのでアイスキャンドルだけ玄関に運んだ。氷の蝋燭立ての中に、ライターで火をつけた小さなキャンドルを入れる。四つ並べて管理人ご夫妻に声を掛けた。
牛乳パックを破いて・・・ 完成
この中に蝋燭を入れて火を灯す
やってきたお二人は写真を撮ってくださり、キャンドルの火がよく見えるようにと駐車場の街灯も暗くしてくださった。
電気の明かりと違って、キャンドルの明かりはゆらゆらと儚げに揺れる。
火を見つめていると、物悲しい気分になってくる。
奥さんはあれからまた榛名湖日記を読み返してくださったそうだ。ご自身も山に登って詳細な記録を自分のために残しているという。
旅に出て、帰ってきて、時間が過ぎたとき楽しかったことは覚えていても、細かいことがどんどん記憶から抜け落ちてしまうから、こうして自分のために記録を残しておくことは意味があると思う。
あんなことがあったね、そのときこんな風に思ったよ、とひとつひとつ地道に文字に変換しておくことによって、たとえ長い時が過ぎ去った後でも、結晶のように崩れず残しておくことができるのではないかと。
カナとレナと、笑ったときのこと、泣いたときのこと、忘れたくないと思っていても、人の記憶は薄情なもので振り返るとみんな幻のように消えている。
二人が大きくなって、私たちが年をとっても、ここでこうして過ごした日々のこと、読み返せば昨日のことのように思い返せるだろうか…。
疲れきったレナは部屋に戻ってしばらくすると座布団の上で寝てしまい、残されたカナは大人しく夕食を食べた。
水音がするので雪解け水が屋根から落ちているのかと思えば、それは雨だった。
空も別れに泣いている。
雪の上に置かれたアイスキャンドル
3-1.風の朝
へ続く
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