子連れ旅行温泉日記の目次子連れ旅行温泉日記

榛名湖日記ファイナル3-1


1.風の朝

最終日 2004年2月23日(月)


 風の強い朝だった。
 昨夜の大雨は嘘だったかのように、広いベランダは乾いていた。
 昨日お昼を食べたベランダのテーブルと椅子は、強風にあおられて位置がずれていた。
 雨の名残は軒下に置いてあったサンダルの足を乗せる部分に張った透き通った氷だけだ。
 冷え込んだ朝で、空は晴れているもののときおり綿毛のような雪がちらつくこともあった。

 昨夜、アイスキャンドルをお見せした時に、管理人ご夫妻は、明日の予定が特に決まっていなければ、遊びにいらっしゃいと誘ってくださった。
 ご自宅に招待?
 本当によろしいのですか?

 私たちのお気に入りの榛名湖の宿は来月末で役目を終える。既に買い手はついていて、4月からはまったく状況が変わってしまうようだ。
 いつも行く度に温かい笑顔で歓迎してくれる管理人さんご夫妻は、本年度いっぱいだと思ったら、この2月末で仕事を終えられるのだそうだ。
 この宿は冬季は週末しか開いていない。この土日と、あとは来週。それで全て。
 3月にここに来たとしても、もう会うことは出来ないのだ。
 私たちはこの宿がなくなってしまうことを悲しんだが、管理人さんご夫妻はもっともっと悲しい思いをしているのだろう。


風の強い朝で、ちぎれた雲が速い速度で横切っていく ベランダから湖上を見下ろすと、既に割れた氷が・・・


 管理の仕事を終えてから、ご自宅に案内してくださるということで、11時まで部屋で待つことにした。
 カナは教育テレビで紙で作るお雛様をやっているのを見て、その場で作り始めた。顔や着物、扇などを描いて切り取り、いろいろなものに貼り付けてお雛様に見立てるのだ。
 描き終えたお雛様をどこに貼ったらいい?と聞かれる。
 この部屋の所感ノートに貼ったらどうだろう。管理人さんの手元に残るから。
 カナは、それはいい考えだと言って、カナとレナのお雛様が手を繋いでいるものを作った。お内裏様がいないけど…まあいいか。

 出来上がった所感ノートを二人は管理人さんに手渡しするのだと、荷物をまとめている親をおいてさっさとロビーへ降りていってしまった。
 親が下についたときは、二人はもうノートを渡し終えて、代わりにお菓子など頂いていた。キミたちちゃんとお礼は言ったかい?


空いた時間に今テレビで見たばかりのおひなさま作りに勤しむカナ。

上の魚は雑誌の付録だが、ついに氷上わかさぎ釣りの出来なかったパパのためにカナは凍った湖を描いた。

雲が速いので、さっき晴れていたと思った空は、いつの間にか翳っている。




3-2.さようなら、湖の見えるおうちへ続く


榛名湖日記ファイナル 目次 | 子連れ温泉ガイド地熱愛好会HOME