雪見露天風呂紀行【榛名湖日記8】4-5

5.だんだん大人の歯になるんだね

　帰り道、体がすごく重く感じた。青森の酸ヶ湯に入った後に感じたあれと同じだ。最近、酸性泉が一番ずっしりと後に響くのではないかと思っている。二番目は濃い目の塩泉だ。

　車に乗せるとレナはすぐに寝付いてしまった。
　お風呂上りにがつがつとソフトクリームを独り占めしてお腹もいっぱいになったのだろう。
　妹が寝てしまって一人で大人しく後部座席に座っていたカナだが、急に「あっ」と大きな声を出した。
「歯が抜けた!!」
　これはこれはおめでとう。昨日に続き六本目だね。
　永久歯は下の前歯二本しか生えていないから、すっかり四本の歯抜け娘だ。
　だんだん大人になるんだね。

　草津は午後から雲が出始めて、帰るころには灰色の空になっていた。
　前方に見える榛名山は朝は雲ばかりだったのに、夕方の今は晴れている。
　晴れ娘のカナとレナ。行く先行く先青空を呼ぶ。
　晴れ女パワーも今年の8～9月頃はちょっと怪しかったけど、すっかり快復してきたようだ。
　今日も榛名山北麓の絶景を見ながら山を登る。北にそびえる山々も夕日を浴びてピンク色。あといくつカーブを曲がれば湖畔だろう。

　流石に疲れたのか、今日のレナは宿についても目を覚ます気配は無かった。
　腕白レナが寝ていると、落ち着いて夕食も食べられる。カナは大人しく食べて、絵本を見て、歯を磨いたらお休み。

　榛名湖についた日には、湖はまだ凍る様子も無かったのに、ここ数日どんどん凍った面積が広くなってきた。外に出たパパは、夜の闇の中、岸に寄せる氷の音を聞いた。さざなみが消えて氷がずっと厚くなったら、この湖が一年で一番賑わう季節がやってくる。