実はキャンペーンに当選したんです、と言うと、若主人も出てきてくださって、忙しい中いろいろお話を聞かせてくださった。
四万は
草津のようなネームバリューがなく、昔は県内のお客さんがほとんどだったとか、毎年湯治に来るお客さんは予約なんかしなくてもいつもの部屋が空けてあったものだとか、雪に閉ざされる冬は湯治客もいないので店を閉めて、出稼ぎに行くような土地柄だったとか、興味深い話を沢山聞くことができた。
生まれたときからずっと温泉にいると、四万温泉が一番良いと思えて、他の温泉に行く気がしないんだよと仰った言葉が印象的だった。
…本当に、四万温泉なら判る気がする。どこよりも良いお湯だって。
私が温泉に取り立てて興味が無かった頃、四万温泉の名を初めて聞いたのはお姑さんからだった。パパのおばあちゃんが、毎年四万へ湯治に行っていたと思い出話をしてくれたのだ。
だから四万といえば湯治場なのだというイメージがずっとあった。
パパはいずれリタイヤしたらどこかの湯治場でのんびり湯治生活をするのが夢なのだそうだ。
じゃあやっぱり四万で湯治かな。
お蕎麦も美味しかったがとても気持ちの良い店だった。
外へ出るとまだ雪は降り続いていた。
山口露天風呂を出たときには、今日の温泉はこれで終わりかなと思ったが、中島屋に着いてみると、
共同浴場の河原の湯が近いことに気づいた。中島屋の若主人も、四万に住んでいる他の地区の人もわざわざ入りに来るぐらい、河原の湯は良いと仰ったので、河原の湯に入ってから帰ることにしよう。