5.温川も秋の色
145号線から浅間隠方面に入る道は、うちのカーナビでは道路が表示されない。でも実際は細くてもちゃんと舗装されていてそれほど悪い道ではない。草津への抜け道に使う人も多いという。
既に吾妻渓谷、草津の紅葉は終わっていたので、往路から実は浅間隠は穴場ではないかと思っていた。確かに左右の紅葉はまだまだ見ごろだ。11月の声を聞いたら、吾妻渓谷ではなく、実は浅間隠方面をドライブするのがツウなのかもしれない。
薬師温泉は99年末にリニューアル、2000年に露天風呂を新設して、今せっせと売り出し中だ。あちこちで「薬師温泉旅籠」の送迎マイクロバスが行き来しているのを見るし、看板もそこら中に立っている。さぞや繁盛して混んでいるだろうなと思った。
それにどこぞで手に入れた薬師温泉がばら撒いている割引券を、持ってきたかと思ったのだが今あわてて探しても見つからない。何だか割引券を持っているのに正規料金で入るのも癪だ。
対する
温川は地味だ。旅館の部屋数も全6室と小ぢんまりしている。露天風呂からのロケーションでは薬師温泉に軍配が上がりそうだが、我が家的には温川だろう。
決めた。今日は
温川温泉。
温川温泉の駐車場は川沿いで、見るとちょうど対岸は薬師温泉の駐車場になっている。流石に向こうはぎっしり停まっている。10台以上きているだろうか。温川のほうは3台くらいだ。
宿は坂の上だが、露天風呂は駐車場のすぐ横だった。妙に生活観のある別棟の休憩室も備えられていて、立ち寄りしやすい雰囲気だ。休憩室の前にはむくむくとしたイヌも飼われていた。
カナとレナは今日はパパと入るという。脱衣所の靴を見ると、男湯も女湯もそれぞれ3、4人の先客がいるようだ。脱衣籠は5つしかなく、これがキャパシティーいっぱいというところだろう。
脱衣所から出ると、いきなり露天風呂がひとつ。それだけだ。内湯は坂の上の旅館内なのだ。
浴槽は檜の四角いもので、4、5人でいっぱいサイズ。既に3人ほど入浴中。天井には透明な屋根がついていて、女湯は景色が見えるはずの二面はヨシズを垂らしていて外から見られないようになっている。確かに、正面の斜面の上には江戸時代旅籠調という薬師温泉旅籠の建物が見えていて、目隠しがなかったら向こうからも丸見えなのだろう。
手前にカランとシャワーがあったので軽く流してから入った。
お湯はごく薄くもやがかかったように白っぽいがほぼ透明。気持ちぬるめで肌触りが柔らかい。臭いはほとんどなくて、淡い甘塩味。しゃがんで入るくらいのちょっと深めの浴槽だ。
浴槽のところは男湯と仕切ってあるが、その外側は繋がっている。子供たちを呼んだら、カナもレナもひょこひょこと女湯にやってきた。
このお湯の温度なら二人とも気に入るだろう。
温川沿いにある割には、川はまったく見えないし、紅葉を見る露天風呂というほどではないけど、ヨシズの間から黄色く染まった木々が見える。たぶんここは、浅間隠三軒の温泉の中では一番垢抜けない、そしてその分のどかさが残っている感じ。
お湯はよく温まる。強烈なのぼせ度ではないけど、中からじんわり温まるようだ。こういうお湯もいいなぁ。