◆◇夏休み函館紀行◇◆
母娘函館観光旅行記
21.ラッキーピエロで大当たり
函館山ロープウェイの山麓駅に降り立ってもまだ寒かった。
山頂の賑わいが嘘のように、もっと遅い時刻であるかのように静かだ。
疲れてきて足ががくがくになっているのを何とか動かして急坂を降りる。
函館山を下りてもがたがた震えていたレナはフードをかぶったままで「だるまちゃん」と呼ばれてた
今夜の宿は
湯の川温泉まるせんだが、素泊まりで予約しているので夕食を何とかしなくてはならない。
ご当地ハンバーガー好きのカナのために十字街のラッキーピエロに寄ろうと思っていたのだが、何故か店が見つからない。
薄暗い中で探すのもくたびれてしまってあきらめた。
そして十字街から函館駅まで市電に乗ったのだが、そういえば函館駅前にもきっとラッキーピエロ、あるよね?
あわてて市電の中でスマホを取り出す。
検索検索・・・ラッキーピエロっと・・・。
見つけた。ここで夕食を調達しよう。
函館と言えば北海道では大都市だし、時刻もまだ夜の8時前だし・・・と思っていたが、予想より駅前は暗く閑散としていた。
駅前と言ってもバス乗り場のあるロータリーではなく、駅から湯の川温泉方面へ伸びる大きな通りだ。
地図を見ると「棒二森屋」という大きなビルから近いところに店はあるようだ。
棒二森屋? 不思議な名前。
デパートとおぼしき大きな棒二森屋の建物の裏手は本当に灯りが乏しく駅前とは思えなかった。
地図が大まかなのでよく判らなかったが、どうもラッキーピエロがある通りは一本隣のようだ。いったん大通りに出て移動すると、確かに黄色い看板から灯りが漏れている。
その看板のカラーリングはチェーンのハンバーガーショップというよりも、インド人が経営しているエスニックなカレー屋みたいだ。
店に近づいて、所狭しと張られた宣伝やメニュー表の統一感の無さにまた驚かされる。
実はこのラッキーピエロ、函館ではもちろんとても有名なチェーンなのだが、ご当地ハンバーガーショップとしてこだわりを持っていて、函館の15店舗の他は、決して他のエリアに出店しないことをモットーとしている。
さらに店舗ごとに店のテーマを変えてみたり、半端ないハンバーガーのメニューを取り揃えていたり、とにかく興味深い店なのだ。
函館駅前のラッキーピエロのテーマはアールデコ・・・と、後で知った。
しかし外観を見る限り、アールデコらしさは微塵もない。どっちかというと屋台的なにぎやかさというか。
ラッキーピエロのオーナーは中華料理屋出身の華僑の人らしいのでそのせいか?
とりあえず注文しようと中に入ってまたビックリ。
ここはチーズバーガーやテリヤキバーガーといった普通のメニューもあるが、函館山ハンバーガーだの縁結びバーガーだの北海道ジンギスカンバーガーだの変わったものもあり、さらにはTheフトッチョバーガー、ナデシコ万歳バーガー、土方歳三ホタテバーガーなどという変わり種も。
一番人気だというチャイニーズチキンバーガーやごく普通のラッキーチーズバーガーなどを注文すると、店員は呼び出し番号を記載するチケットのような紙を出してきて、そこに赤ペンで「1」と書いた。
そしていきなり、
チリーンチリーン
卓上にあったハンドベルが鳴らされた。なんだなんだ?
「おめでとうございます。当たりです」
はぁ?
どうも注文を受け付けるたびに、注文内容を間違えないように客に受付ナンバーを記載したチケットを渡すシステムのようだが、そのナンバーに当たりナンバーがあって、私の時にちょうど番号が一巡して「1」番となり、それが当選だったようだ。
どうぞ、と渡されたのはバニラとチョコのミックスソフトクリーム。
こ、この激寒の気温でソフトクリームかいっ。
といっても当たりは当たりでありがたいので溶ける前に美味しくいただく。
なんかもうびっくりした、何から何まで。
店内を見回すと、座席の方のデザインは妙にハンバーガーショップらしくなく、強いて言うならポスターやちらしを一面にべたべたと貼ったオリエント急行の中、という感じだろうか。
これがもしかしたらアールデコというものなのだろうか?