◆◇奥秩父日記3◇◆
GW駆け込み中津川村キャンプ場

6.今夜は一番風呂

　夕方には中津川村キャンプ場に戻っていた。
　キャンプ場の女将さんにここで釣り具のレンタルなどは無いかと聞いてみたが、返事は「私にはこの川は見るもので釣る場所じゃ無かったの」というものだった。

　6時前に女将さんがお風呂が沸いたと伝えに来てくれた。
　今日は一番風呂もらいっと、一人で風呂道具を手にいそいそと浴室棟に向かう。
　しめしめ誰もまだ入ってない。
　暖簾を潜りガラガラと戸をあけて無人であることを確かめる。
　ここのお湯は沸かして貯めているので、先に入れれば入れたほど鮮度が高い。
　濃い茶色の濁り湯は表面にぽつぽつと泡が浮いていた。
　外がまだ明るいのも嬉しい。
　湯船から細く窓を開ければ中津川の清流がのぞめる。
　もういいや、今日が失敗でも、中津川温泉さえあれば。

　お風呂からあがってみると、パパがジャングルジムを利用してハンモックを釣るしていた。
　子どもたちがこれを揺れるベンチ代りにしていると、今夜泊まるらしいやってきたばかりの小さい子がハンモックに興味津津。
　「どうぞ」とパパが言うと、その子のパパがお礼を言って子どもを抱き抱えハンモックに乗せた。
　すごく高いブランコみたいになって、その子の目がまんまるになった。

　そしてそれから突然空が真っ暗になって大雨が降ってきた。
　ちょうど昨日と同じような時間帯か、晴れていたのが嘘のような土砂降り。

　降りだす直前まで子どもたちが薪代わりの小枝やイガグリを拾ってまわっていたので、それがぬれる前に慌てて屋根の下に移した。

　ゴールデンウィークはまだ明日まであるのに、すっかりキャンプ場の滞在者は減って静かな宵だ。
　もちろん寝る前にはもう一度温泉に入らなきゃ。