子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★☆ 泉質★★★★★ 湯は加熱なので温度はそのときどきにより違う
- 設備★★★☆☆ 雰囲気★★★★☆ 浴室に赤ちゃん向けの設備はないが、キャンプ場のトイレはオムツ替え台など設置されている
子連れ家族のための温泉ポイント
東京のお隣埼玉県と言えど、中津川温泉のある辺りはもう山また山。まことに奥深いところにある。
道やトンネルだけは立派だが、秩父の大滝神社を過ぎればもう民家もなく、緑沁みいる渓流沿いの道を行けば、ただ川の流れる音だけが響く。
吊り橋を渡らねば辿り着かないキャンプ場、中津川村キャンプ場はバンガローやログハウスを備えた温泉付き施設で、夏は川遊び、秋はきのこ狩りなど楽しめる。もちろん釣り客も訪れる。
特にトイレが広く清潔で、屋根付きの炊事場や座敷などあるところが、小さい子連れのキャンパーにも最適だ。手作りのブランコやジャングルジムもある。
中津川温泉は昨今の掘削温泉や安易な循環風呂とはまったく違う。
元々自噴していた冷鉱泉を温泉利用しようとキャンプ場経営者が決めたのは昭和63年のこと。
ちょうど竹下内閣のふるさと創世一億円事業で雨後の竹の子のように公営日帰り温泉施設が乱立した時代より僅かに先ん出ていたため、役所の担当官なども温泉の有効利用に協力的だったという。
キャンプ場自体もその頃から一泊利用よりも連泊するお客さんが増え始め、風呂やシャワーといった設備が求められるようになってきた。
お風呂は二つ。
岩の露天風呂と桧の内風呂がある。
通常は岩風呂(一番上の画像)が男湯に、桧風呂(二番目と三番目の画像)が女湯に設定されているが、利用者の少ないときは桧風呂だけを湧かす。
岩風呂は囲われていて展望がないので、実は窓を開け放つと中津川の渓流と緑したたる対岸の見渡せる桧風呂の方が人気は高い。
特に11月初旬は、山も川も全て錦に染まる。
沈めた足など全く見えない茶色い濁り湯だが、ボイラーで加熱するだけで循環、濾過などはいっさい行っていない。鉄分の中にほのかに甘みのある味。
鉄の臭いが強く、翌日になっても肌からぷんぷんと臭うくらいだ。すこしきしきしとするが優しい肌触りで、特に上がった後の肌はベビーパウダーをはたいたように見事にすべすべになっている。
源泉は施設の対岸にある。
吊り橋を渡るとき、足下を覗き込むと鉄錆色の赤茶色い流れが中津川に流れ込んでいるのを見ることができる(右の画像)。
キャンプ場に泊まったら。夜はそっと管理棟のそばへおじゃましてみるといい。
気さくな管理人ご夫妻が、いろいろ面白い話を聞かせてくれるかもしれない。
外に囲炉裏を設えてあって、ちょっとしたアウトドアな居酒屋スタイルになっているのだ。
キャンプ場のご主人曰く、「循環した風呂に入る奴の気がしれねぇ」。
その拘りが、加熱使用であっても安易な使い方はせず、夜は10時まで、朝風呂は無しというきっぱりした時間設定にあらわれているのだろう。