◆◇奥秩父日記3◇◆
GW駆け込み中津川村キャンプ場

2.行先は奥秩父

　「じゃあいっそ埼玉とかはどうよ」
　「埼玉？」

　森のまきばオートキャンプ場がこけたことにより、急きょ浮上したのがやはり8年ぐらい前に二度ほど行ったことのある奥秩父の中津川村キャンプ場。
　急いで電話してみると、意外にもバンガローにまだ空きがあるという。

　ここはオートキャンプ場ではなく、車の入れないキャンプ場で、駐車場からつり橋を渡って荷物を運ぶ必要がある。
　但し、バンガローを借りるので、テントは不要。
　トイレは関東近郊の多くのキャンプ場の中でも群を抜いて綺麗で使いやすい。
　しかもしかも、特筆すべきは温泉。
　温泉付きキャンプ場なのだ。
　それも近隣でも群を抜いた知る人ぞ知る極上湯の。

　というわけでようやくゴールデンウィークの予定が決定した。
　行き先は埼玉県の奥秩父。
　中津川温泉の湧く中津川村キャンプ場。

　あのー、雨、止むって言ってませんでしたっけー？
　思わずぼやきたくなる空模様。
　朝の秩父は前も見えないどしゃぶりだった。

　いくらバンガロー泊まりでもこれは嫌だ。

　高速を降りてマクドナルドで朝食を取った。
　ラジオでは朝7時半の段階で、既に関越道は高坂まで19キロの渋滞らしい。
　へっへーん、もう高速抜けちゃったもんね。

　しかし行き先が埼玉だというと子どもたちはブーイングした。
　「埼玉とか千葉とか近すぎる!」
　そりゃまあ。
　あなたたちが通っている学校には普通に埼玉や千葉から通う同級生がいるわけで、それはつまり家の近所の通学通勤圏だってことで、そういう感覚だと旅行先としては近すぎるというのは判る。
　「旅行に行くなら長野とか新潟が良かった」
　長野も新潟もとってもいいところだけど、この時期キャンプするにはちょっと寒いし、朝からチェックインできて、しかも既にゴールデンウィークが始まってから予約できるようなところは見つからなかったんだよ。

　埼玉ー、埼玉ー、おもしろくなさそうと何度も言っていたカナだったが、高速を降りてどんどん山深くなっていく車窓の景色を見ているうちに気が変わってきたようだ。
　「秩父、自分が知ってる埼玉のイメージと違ったでしょ？　旅行先としてよくない？」
　「ここ、ホントに埼玉なんだ。意外といいかも」

　しかし天候は無情で、前述したように秩父に入ると猛烈な大雨。
　どうなっちゃうんだ？　今回のキャンプ。