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■奥秩父日記2■3-7


7.ここは飲んべえの集まるキャンプ場

 夕食の後は最後のお風呂。
 今日は宿泊客が少ないので桧の内湯だけが準備されている。これを家族風呂に使わせてもらった。
 中津川温泉についても少し書いておこう。
 この温泉は鉄分とメタケイ酸による規定泉で温度も低いが、自然自噴している。吊り橋からキャンプ場に歩いて来る際に、下を覗き込むと橋と平行して鉄錆のようなオレンジ色の流れが川に合流しているのが見えるが、あれが源泉なのだ。
 以前から温泉であることは判っていたが、利用を決めたのは昭和63年のこと。ちょうど竹下内閣のふるさと創世一億円事業で雨後の竹の子のように公営日帰り温泉施設が乱立した時代より僅かに先ん出ていたため、役所の担当官なども温泉の有効利用に協力的だったという。
 キャンプ場もその頃から一泊利用よりも連泊するお客さんが増え始め、風呂やシャワーといった設備が求められるようになってきた。
 茶色い濁り湯だが、ボイラーで加熱するだけで循環、濾過などはいっさい行っていない。
 鉄の臭いが強く、翌日になっても肌からぷんぷんと臭うくらいだ。すこしきしきしとするが優しい肌触りで、特に上がった後の肌はベビーパウダーをはたいたように見事にすべすべになっている。
 キャンプ場のご主人曰く、「循環した風呂に入る奴の気がしれねぇ」。
 その拘りが、加熱使用であっても安易な使い方はせず、夜は10時まで、朝風呂は無しというきっぱりした時間設定にあらわれているのだろう。


家族で中津川温泉を貸切状態


 子供たちを寝かせた後、もう一度居酒屋 辛島に戻ってみると、飲み客が増えていた。
 今夜宿泊する人たちがパパやご主人と既にできあがっている。
 のそりとしたクマのような男性は画家で山を歩いては森の絵を描いているのだそうだ。明日は十文字小屋まで歩いてその後は野宿するという。
 もう一人は白いポロシャツにジャージの似合う体育会系の先生だ。明日の夜から150人の生徒が泊まりに来るので準備のために先に来ているという。
 何だか飲んべえばかりこのキャンプ場には集まるみたいだな。 



4-1.これで本当に休暇の終わりへ続く


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