スミスフィールドから
ケアンズ空港までは15分ほどで着いた。
車の中では子どもたちがゲッコーのぬいぐるみではしゃいでいる。
「可愛いんだよ、私のゲッコーたん」
「レナのも可愛いよ、ゲッコーたん」
「二匹ともゲッコーたんって名前なの?」とパパ。
カナは「真似しないでよ」と怒るが、レナはレナで「どうして同じ名前じゃいけないの?」と開き直る。
「判った判った、あだ名は両方ともゲッコーたんということにして、本名は別々にしよう」と私。
「じゃ、ママがつけて」とレナ。
「・・・うーん、ウォンガリング・ビーチちゃんと
ミッション・ビーチちゃんというのはどう?」
というわけで、カナのゲッコーはウォンガリング・ビーチ、レナのゲッコーはミッション・ビーチと決まった。
空港に着くとパパはレンタカーを返却に行った。
中をのぞくと出国審査の列にはずらりと日本人が並んでいた。そうしている間にも、H・I・Sと書かれた大型バスが到着して日本人がぞろぞろと降りてくる。
今日はゴールデンウィーク最終日。
ケアンズにいる日本人旅行者が一斉に帰国する日だ。
「これは審査に時間が掛かりそうだねぇ」パパはそう呟いて、ぎりぎりまで外で待つことにした。ここまで来たらもう遅刻のしようもない。