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** ケアンズと森とビーチの休日 **

19.儚い約束




 

ビーチで釣りをする人



 ウォンガリングビーチに夕暮れが訪れた。
 この旅で見る最後の夕暮れだ。
 波打ち際で釣りをしている人がいる。ウォンガリンガの宿泊者だ。
 しばらく釣り糸を垂れていたようだがやがて戻ってきて、すれ違ったときにパパが釣れた?と聞くと、さっぱりだと肩をすくめられてしまった。

 部屋に戻るともうさっぱりシャワーを浴びた子どもたちが水泳用ゴーグルが足りないと騒いでいる。
 たぶんプールサイドに置いてきてしまったのだろう。
 こういうとき忘れ物、無くし物をするのもレナと決まっている。
 「ママが取りに行ってくるから待っていて」

 プールサイドに行ってきょろきょろ探しているとロラリーが現れた。
 私の姿を見るとすぐに目的が判ったらしく、オフィスからゴーグルを持ってきてくれた。
 「これでしょ?」
 「サンキュ~」
 「ねえ、来年また来てくれる?」
 「・・・」
 オフコースと躊躇いもなく答えられたら・・・。
 でも判らない。
 予算も休暇も限られている。オーストラリアに来て、またここに泊まりたい気持ちだけはとてもとても強いけど。
 困っている私の顔を見て、ロラリーは言った。
 「メイビー?」
 「メイビー」
 そうきっと。
 「あなたたちのために8号室を空けておくわね」
 ありがとう。



ビーチで拾った。
この花模様の貝のようなものの正体はもう知っている。ウニの殻なんだって。



 お昼にがっちりと食べてしまったので夕御飯は少しで良かった。
 大人はカレーの残りを食パンの残りと一緒に。
 子供はハッシュドポテトとご飯で。
 野菜も全部サラダにしてしまった。
 もう生ものはほとんど残っていない。
 テレビでは何故か料理の鉄人を吹き替えて放送している。
 鹿賀丈史が英語でしゃべってる~。可笑しいぞ。
 ニベアフォーメンのCMは日本とまったく同じ。日本ではわざわざ洋画風のアレンジをしているのかと思ったらそのまんまかい。
 今晩中に荷物を全部詰めてしまわなくては。
 明日は朝早くここを出て、昼過ぎには飛行機に乗らなくてはならない。




 食後は四人で散歩に出てみた。
 夜のビーチは今日も月明かりに照らされている。
 ベンチの所にはカップルがいて、グッドイーブニンと挨拶してきた。
 海が近い。
 昼間よりも潮が満ちている。
 波打ち際に立っているとひたひたと水が足をぬらす。
 子どもたちは波に追い付かれまいとぎりぎりまで待って声を上げて逃げる。
 二人が昼間作った砂の城も、まだ月光を浴びて残っている。







11-1最後の夜明けへ続く


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