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** ケアンズと森とビーチの休日 **

10.折れたヌードルとライフジャケット




 押し問答をしているうちに私たちはラストになってしまった。
 もうみんな次々とシュノーケル三点セットを身につけ、ヌードルと呼ばれる棒のように細長い浮き具を抱えてどんどん海に入っていく。
 「あれ? ライフジャケットは貸してくれないの?」と私。
 三年前のミコマスケイの時は無料で貸してくれたのに。
 「無いみたいだよ」と冷たいパパ。パパは泳ぎが上手いのでいつも浮き具を必要としない。
 「・・・判った。ライフジャケットが無いなら子どもたちの分は空気を入れて膨らませるライフジャケット型の浮き具を持ってきたからそれを使うよ」
 早く海に入らないと自由時間がどんどん少なくなってしまうという焦りに狩られながら、私はまた二階のデッキに戻り、ビーチバッグの中からそれを探し出して膨らませた。
 この浮き具を私は「なんちゃってライフジャケット」と呼んでいるが、100円ショップで手に入れたもので沖縄でも重宝した。一応空気を入れるところが三箇所に別れているので万が一どれかの空気が漏れたとしてもある程度の浮力を保つことができる。
 もちろんちゃんとしたライフジャケットがあるに越したことはないが、少なくとも一箇所穴が開けばお陀仏の普通の浮き輪よりはリスクが少ない。
 さあ子どもたちの浮き具はなんとかした。
 あとは自分の分のヌードルだけだ。 




 ・・・
 無い、無い、無い~。
 貸し出し用ヌードルが入っていたとおぼしき箱は空っぽだった。
 「ママ、ここ・・・」
 カナが指さす先にはぽっきりと折れた半分サイズの白いヌードルが一本だけ。
 ど、どうして無いの?
 ふと海の中を見ると、太ったオージーのおじさんが二本のヌードルを束ねて抱え、泳いでいくのが見えた。
 ああ~っ。そ、それ・・・わ、私の分!! (声にならない叫び)

 酷すぎる。
 必要人数分のヌードルを準備してくれなかったカリプソも酷いが、数の限られているヌードルを二本も使う人も酷い。
 泳げない私はどうやってシュノーケルしたらいいんだ?
 いや、一応言っておくが私は全然泳げないわけではない。ただ、ちょっと体勢を崩してぶくぶくとなったときに浮き具がないとパニックを起こして沈んでしまう。そんな怖いシュノーケルはしたくない。

 カリプソのスタッフを見つけて他にヌードルは残っていないか聞いてみた。
 船内を見回すとぽつぽつと椅子に立てかけたヌードルなどが残っているが、みんな誰かがキープ済みのようだ。
 「ごめんね、もう無いや」スタッフが肩をすくめた。
 うっ・・・。
 マジでそんなのあり?
 困った。
 迷った。
 ・・・決意した。
 仕方ない。あの折れたヌードルを使おう。サイズが半分だから浮力も半分だし抱えるのも難しいが無いよりマシだ。
 白いヌードルを手に覚悟を決めて海に入ろうとしたとき、スタッフが戻ってきた。
 「これを使って」
 おお。
 ライフジャケット。
 なに? こんなにいいものを貸してくれるの?
 スタッフは私の体型を見てうーんと考えて、もう一回り小さいライフジャケットと取り替えてくれた。
 何だ、ライフジャケットもあるんじゃない。まあ普通はヌードルを使えということなんだろうけど、ジャケットの方が自由に動けるし安心できる。
 結果としてはラッキーだった。






8-11何から何までへ続く


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