11.何から何まで
さて後は水中撮影用のカメラ。
古いキヤノンのデジカメは防水ハウジングを持っているのでこれを水中撮影専用に持参した。
「パパ、カメラ係お願いね」
ところが・・・。
「これ、バッテリーを交換して下さいって表示が出ているけど」
な、なに~!?
「そんなわけないよ。日本を発つ前日に電池を充電したばかりだよ」
「でも電源を入れると交換して下さいって出るよ」
ううーっ。
「デッキに新しいキヤノンのS3
ISがあるから、あっちから電池を抜いてきて入れ替えてちょうだい」
たまたまどちらのカメラも単三電池四本で動くタイプで良かった。
後で調べたら古いキヤノン機に入れた充電用電池は充電回数の限界を超えたようで使いものにならなくなっていた。
ようやく何もかも揃って海に入れるかと思ったら、今度はカナがぐずぐず言い始めた。
さっきレナをなだめるために大人があれこれ世話をしたことを不公平だと感じたらしい。
あのね!!
何のためにレナに機嫌を直してもらったと思っているんだ。みんなで楽しい時間を楽しく過ごすためだろうが。どうしてそう、次から次へと足を引っ張るようなことをする。互いに引っ張り合って時間を無駄にして嫌な気持ちを抱えて、それで何を得ることができるって言うんだ。
「だってゴーグルつけたくないんだもん」
「じゃあみんなみたいにシュノーケルマスクをつければいいじゃないか」
「もっと嫌。鼻から息ができないから」
「じゃあ何もつけなくてもいいからおいでよ」
「嫌っ」
じゃあ何ならいいんだ?