** ケアンズと森とビーチの休日 **
リーフは船の左右に広がっていた。
リーフの名前はたぶんビーバーリーフだと思うが、カリプソのクルーズはその時々で違うリーフに行ったりするというのでもしかしたら違うかもしれない。
みんなが右手のリーフに行っているように見えたので、私もレナの手を引いて右側に泳ぎ進んだ。
しかしシュノーケル大好きだったはずのレナも管がきちんとセットされていなかったのか、水が入ってきて嫌だとごね始めた。
「もう戻るー、船に戻るー」
口から管を外させて、溜まった海水を捨てた。
もう滅茶苦茶だ。
今日は何もかも上手く行かない日に違いない。
「レーナッ」
カナがこちらに向けて泳いできた。
パパと一緒だ。
もっと時間が掛かるかと思ったが、なんとか機嫌を直すことができたらしい。
「レナ、一緒に行こう」
カナが言うとレナもぐずぐず言うのをやめた。
二人は手を繋いでリーフの方に泳ぎだした。
リーフに辿り着く前から大きな魚がゆらゆらと下の方を泳いでいるのが見えたが、リーフの縁まで着くともう魚がいっぱい。
「レナ、ドリーがいるよ」
ファインディングニモのドリーは青と黄色のナンヨウハギ。
それがいっぱい群れている。
ああ、やっと。
やっと家族四人でグレートバリアリーフでシュノーケルするという夢が叶った。
四年越しだ。