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** ケアンズと森とビーチの休日 **

7.ダンク島からの乗客たち




 




 ダンク島に立ち寄ったのは、乗客を乗せるためだった。
 ミッションビーチを出航したときは、ヒンチンブルック島一日ツアー同様ずいぶん空いているなと感じたが、どうやらこのアウターリーフクルーズのお客さんの大半は、ダンク島から乗ってくるようだった。
 30分以上経って、ようやく乗船客もみんな揃いダンク島を後にした。
 満員御礼になったツアーのメンバーの中には、私たちの他にも二組ほど日本人の夫婦がいた。

 二組の日本人はそれぞれ私たちより年上のご夫婦と、新婚旅行とおぼしい若い夫婦だった。
 年上の夫婦の奥さんの方と少し話をしたが、前半がダンク島、後半がケアンズ市内に泊まるツアーでいらしたらしい。
 ダンク島の予想外の湿度の高さに閉口したことや、日本人はのんびりすることに馴れていなくてどうしても毎日何かしらのツアーを入れてしまうといった話を聞かせてくれた。
 私なんかにしてみると、今回の旅行は天候にも恵まれてむしろ湿度は予想よりずいぶん低かったと思っている。もし雨期が開けていなかったらこんなものでは済まなかったはずだ。
 毎日何かしら出かけてしまうことはよく理解できる。
 昔、パームコーブのノボテルに泊まったとき、ホテルのコンシェルジュに毎日オプショナルツアーの予約を頼みに行ったら、「お前たち何しにリゾートに来たの?」と呆れられたことがある。
 何しにって遊びに来たのよ。
 日本ではできないことをしに、見られない景色を見に、わざわざ高いお金を払って窮屈な飛行機に乗ってやってきたの。
 のんびりするのだって嫌いじゃないわ。でものんびりすることは自宅の近所の公園で天気の良い週末にでも十分できるもの。
 違う?

停泊中は船の周りにも魚が沢山集まってきた



 パパはハネムーナーらしいカップルの旦那さんと話をしたようだ。
 「何を話していたの?」
 「奥さんが船酔いして、体験ダイビングをキャンセルするんだって。あと、旦那さんはダンク島が退屈だって言っていた」
 「ふーん」
 思わず二人して、ミッションビーチに泊まれば良かったのにねと言ってしまった。
 ミッションビーチならクロコダイルスポッティングに行くとか、タリー川ラフティングに行くとか、スカイダイビングをするとか、エキサイティングなことがいっぱいできるよ。
 それはさておき、奥さんの船酔いは可哀想だ。
 いつもはアウターリーフクルーズの船に乗ると真っ青になる船酔いパパも何故か今日は顔色が良い。
 これだけ船が揺れているのに。馴れてきたのか? それとも酔い止めが体質に合ったのかな。

クルーズ船カリプソIIの運転席





8-8グレートバリアリーフに船酔いは付き物へ続く


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