1.預かった写真
「レナー、早くおいで、早く早く」
砂地の坂に簡単な階段が作ってあるそのてっぺんでカナが呼んでいた。
レナは疲れて歩くのが遅い。パパとカナだけ先に行ってしまったが、カナはレナを迎えに戻ってきてくれた。
「ここを登ればすぐだよ。海が見えるよ。水色のとっても綺麗な海だよ」
六日目 5月1日(火)
一昨年、行きたかったのに行きそびれてしまったところにヒンチンブルック島があった。
今年こそここへ行きたいという話を掲示板に書いたところ、よく掲示板に来て下さるNaomiさんという方からあることをお願いされた。
それはヒンチンブルック島一日ツアーのスタッフにとてもお世話になったから、感謝の気持ちを伝えてほしいというものだった。
Naomiさんはウォンバットが大好きで、ウォンバットを確実に抱っこできる動物園を探していた。
ケアンズトロピカルズーで抱っこできることもあるらしいし、日本の九州にあるカドリードミニオンでも抱っこはできるが、確実性や周辺観光などいろいろ考えて、彼女が選んだのはタウンズヴィル近くのビラボーン・サンクチュアリ動物園だった。
ビラボーンでは10時と3時半にウォンバット抱っこタイムが設けられている(コアラは10時半と2時と4時、他にクロコダイルやパイソン抱っこタイムも)。
ビラボーンのあるタウンズヴィルは
ケアンズからおよそ350キロ。車で6時間ほど掛かると思われる。
ビラボーンに行くためにNaomiさんが選んだ宿泊地は、ケアンズとタウンズヴィルのほぼ中間よりは少しタウンズヴィル寄りの港町カードウェルだった。
カードウェルは世界最大の国立公園島であるヒンチンブルック島の入り口となっている小さな町で、Naomiさん一家は去年の8月にカードウェルで四泊し、そのときにヒンチンブルック島一日ツアーにも参加している。
そしてそのときのクルーズスタッフに改めて感謝の気持ちを伝えたいほどお世話になったのだそうだ。
【Naomiさんのカードウェル紹介と滞在旅行記はこちらで
Hello,
Cardwell】
Naomiさんからはその人が判るように写真を預かっていた。
その人は笑顔の眩しい大柄なオージーで、Naomiさん一家と並んで写っていた。
天井近くの高い窓でずっとバタバタしていた蝶が、昨日何とか下に降りてきたので出口の側に連れていってやったがそこからなかなか出ていかない。昨夜子どもたちと外の花まで誘導してやったが、まだ朝になってもそこにいた。
「大丈夫かな」と心配そうなカナとレナ。
たぶん日が昇って暖かくなれば飛んでいくよ。二人が青虫から育てたモンシロチョウだってそうだったじゃない。
いつものように朝日の撮影を終えたパパは支度を始めて、7時40分頃車を出した。
今日はヒンチンブルック島一日ツアーに行く日。
昨日ウォンガリンガのオフィスでこのツアーを申し込んだら、ロラリーが何度もビューティフルなところよと強調していた。