ケアンズぷらすケアンズぷらす > 子連れ旅行記 ケアンズと森とビーチの休日 > 3-14フヨウチョウに逢いたい

** ケアンズと森とビーチの休日 **

14.フヨウチョウに逢いたい




 




 移動はwillieさんの車にまかせきりなのでどの道を通ったのか定かではない。
 だから今、この文章は地図を見て書いている。
 恐らく車はマランダからマランダ・アサートンロードを北上し、ヘイスティロードに突き当たったところで左に曲がったんじゃないかと思う。
 この道は途中でケネディハイウェイと交差するが、そのまま直進するとアサートンの南にあるヘイスティー湿地の方へ向かう。
 「オーストラリアには国立公園が沢山ありますが、その中で、もしかしたら最も小さい国立公園がここなんじゃないかと思います。ヘイスティースワンプ・ナショナルパーク。池というか沼というか、そこだけが国立公園に指定されています」

 ヘイスティー湿地に入る道は未舗装だった。
 道の入り口の電線に何かちょっと大きめの鳥がとまっていた。
 「あっ、ワライカワセミですよ」
 うん判る。あの平たい頭。確かにクッカバラだ。
 写真に撮る間もなく飛んでいってしまった。
 「今のワライカワセミはアオバネでした。ちょっと珍しい方のワライカワセミです」

ヘイスティー湿原へ向かう道


とても小さな国立公園だ



 未舗装道路の両側に背の高い葦のような草が生い茂っている。
 「フヨウチョウはよくこういう草の上の方にとまっているんですよ。こんな細い草でも器用につかまることができるんです」
 フヨウチョウというのは英名をRed-browed Finch、又の名をRed-browed Firetaileと言って背中と羽が黄緑色で喉からお腹が淡い灰色、目の周りと尾羽根の辺りが朱色、特にその目の周りはちょうどアイマスク状に赤くなっている小鳥だ。
 カナとレナに日本を出発する前に、オーストラリアで一番楽しみにしていることは何と聞くと、毎日「鳥先生にいろいろな鳥を見せてもらうこと」と答えていた。
 二人にはwillieさんのことを「鳥先生」と紹介していた。
 「でも鳥先生にいろいろ教えてもらっても、英語だと判らないよ」と心配したカナ。
 「大丈夫。鳥先生は日本人だから日本語で教えてくれる」
 「あー良かった」
 そんな二人が楽しみにしていたことのひとつはフヨウチョウを見ることだった。
 家にあったハーバートン(アサートン高原の町の一つ)・ビジターセンターのリーフレットに三羽並んだフヨウチョウの写真が載っていて、それがとても可愛らしかったのだ。
 「むくむくの鳥ちゃん」と二人はフヨウチョウのことを呼んだ。
 部屋の隅に二人でしゃがみ込んで何をしているのかと思ったら、「今、むくむくの鳥ちゃんの真似をしているところだよ」と答えたこともあった。

 でも残念なことに今日は葦の上にはフヨウチョウは来ていないようだった。
 それに後部座席ではレナが寝ていた。
 どうも最近は車に乗る度に寝ているようだ。いつものように酔い止めは飲ませたけれど、気持ちが悪いと言われるよりは寝ていてくれた方がいい。



セイケイ。下の2枚は上の画像を部分拡大してみた



 ヘイスティー湿地の隅に観察小屋がある。
 willieさんの車はその横で停まった。
 未舗装の道の先には赤い帽子をかぶったような青っぽい水鳥が何羽もうろうろしている。さっきから道を横切ったり藪に隠れたりやたらと目に付いていた鳥だ。
 「あれはセイケイです。日本名だと青鶏、つまり「青」ですけど、こっちの人の感覚から言うと「紫」なんです。英名はPurple Swamphenと言います。お尻の羽だけ白いところが可愛いですよね」
 後ろ向きになると、あれ、本当だ。背中は黒っぽいのに何故かお尻だけぽっちりと白い。
 子どもたちと追いかけるとよたよたとみんな藪の中に逃げていった。
 セイケイが逃げた反対側には農場と民家があって、そちらにも別の鳥がいた。willieさんはズグロトサカゲリだと教えてくれた。他にナンヨウクイナもいた。


ヘイスティー湿地の野鳥観察小屋





3-15ヘイスティー湿地の野鳥観察小屋へ続く


ケアンズと森とビーチの休日 目次 | ケアンズぷらすHOME