荷物を全部、車に積み込んでから、セイラとロッキーに手を引かれて母屋に戻った。
チェックアウト。
寂しい。
ディヴィッドが昨夜のお礼だとワインを一瓶差し出した。
こちらが部屋から持ち込んだビールやワインを飲ませてもらったからと。
「オーストラリアワイン?」
「スパークリングワインだよ」
お礼を言ってお土産に持ってきた扇子を渡す。
今度はディヴィッドは真新しいゲストブックを出した。
ここに名前とコメントを書いてほしいという。
「あなたたちは私たちの六番目のお客さんだ!」
このとき初めてこの若い一家が、一時的ではなく、このさきずっとこのファームを管理していくのだと知った。
病気を機に今は
ケアンズに暮らしているというご両親は引退し、正式に彼らが引き継いだのだと知った。
写真を撮らせてほしいとお願いして、みんなで撮影することにした。
どこをバックにするのが一番いい?
左右見回して、結局日の当たる放牧地を背景に並んでもらった。
ディヴィッド、シンディ、セイラ、ロッキー、ありがとう。
あなたたちに会えて良かった。
これからもどうか、このファームが順風満帆で進んでいってほしい。
あなたたちにはいつも陽のあたる丘で笑っていてほしい。
本当にありがとう。