10.ミラミラ
と、これで終われば良かったのだが、まだもうちょっと続きがある。
支払いをカードで済ませようとしたら、シンディが一度引っ込んで、それから困った顔で出てきた。
機械の調子が悪くてカードの手続きが取れないという。
こちらも現金の持ち合わせがないし、困った困ったとみんなで悩む。
何しろ今日は日曜日なので銀行が開いていないのだ。
「・・・明日でも明後日でも銀行で降ろして、ミッションビーチから払いに戻ってくるとか」
「うーん・・・」
シンディがいい手を考えついたようだ。
何だかよく判らなかったが、彼女についていくことにした。
行き先がミラミラだということは判った。
ミラミラはファームから7キロ離れた最寄りの町だ。
シンディの運転する車が前を走っている。
助手席にセイラの金髪が見えた。
出発前、ロッキーがぐずぐず言っていると思ったら、それは彼が留守番を申しつけられたかららしかった。
「あれってもしかしたら、さっきクリークを渡ったトラック?」
「まさか」とパパ。
「クリークを渡ったやつはナンバープレートがついていなかったよ」
そ、そうか。流石にあのトラックは農場内専用か。