1.成田空港へ
ゴールデンウィークスタートの前日。
平日木曜日。
幼稚園年長のレナがお昼前に園バスで帰ってくる。
午後1時前には会社を午後半休したパパが。
2時過ぎ、小学二年生のカナが帰宅した。
家族四人揃って準備万端。
午後三時半。夏のように暑い日で、長袖では汗ばむほど。
成田に向かう高速道路はほぼ順調。
湾岸の道を走っていれば、大きな観覧車が見えて続いてTDR。
今回オーストラリアで何がしたい? と、カナとレナに聞けば、
「プール」
「あとね、カンガルーに餌をあげたい」
「海の中で魚も見る」
そう、去年
ミコマスケイで怖がってシュノーケルできなかった子供たちに、今年はマイ・シュノーケルセットを購入したのだ。
神田のスポーツ用品店で一つ2千円。マスクのついたセットで、子供用だけどちゃんと管の所に排水弁が付いている。私たちがグレートバリアリーフクルーズで貸し出される大人用のシュノーケルセットにはそんなの付いてないよ。だから管に水が入ってくると辛いんだ。
「いいなぁ、これ」
「ママも買えば」
簡単に言うじゃない。
二人は出発前に何度もお風呂場で練習した。
大丈夫。
今回はきっとカラフルな魚も珊瑚礁も自分の目で見られるよ。
テレビでよく魚がいっぱいの海の中が映るじゃない。
本物のあれが見えるんだよ、オーストラリアで。
成田空港近くののパーキングで車を預ける。
以前は成田エクスプレスを使ったり京成電鉄を使ったり高速バスを使ったりしたが、最寄り駅までスーツケースを転がして歩く面倒や重い荷物を持って駅の階段を上り下りする苦労から、最近はすっかり自家用車を使うようになっていた。
大人二人ならなんとでもなるが、言うことを聞かない子連れでは何かとフットワークが重いのだ。
空港の民間駐車場はこの一年ですっかりディスカウントが進み、1日500円、5回借りれば次回は無料などというところも珍しくないようだ。
車を降りたら風がひんやりしていた。
暑いようでもまだ4月。
真夏のようなわけにはいかない。
「
ケアンズは今日の東京より暑いかな」と私。
「暑いと思うよ」とパパ。
一瞬ケアンズの湿った熱風を感じた気がした。
もうじき幻じゃなくなる。
これから飛行機に乗って、狭苦しい機内で一晩耐えればそこは一年間思い続けてきた赤い大地だ。