ポートダグラス楽園日誌2004 6-13


13.子連れシュノーケル

 マスクをつけた顔を海中に沈めると・・・。
 最初は何も見えない。
 泡が消えて中が見えてくると、それは幻想的な光景が待っていた。

 おお、これは綺麗だ。
 もこもこの珊瑚の間に、カラフルな魚たちが泳いでいる。
 追いかけたら手で触れそうだ。
 それに珊瑚も黒っぽい中、蛍光ブルーのドットが一面についているのも。
 あっと言う間に、海が冷たかったことなどすっかり意識から消えてしまった。

 初めてダイビングとシュノーケルをしたのは、沖縄の座間味島だった。
 体験ダイビングをして、その後シュノーケルをした。
 初めて見る珊瑚礁の海の中は、目を見張るほど美しかった。

 次がエイジンコートリーフで、潜る前に他でどこか潜ったことがあるか聞かれた。
沖縄で体験ダイビングをしたことがあると言うと、沖縄には負けるかもしれないが、こちらの方が大物が出る確率は高いと言われた。
 結局大物は出なかったので、魚も珊瑚も沖縄より寂しいダイビングになった。

 三度目のアーリントンリーフでの体験ダイビングはさらに大したことがなかったような気がする。
 ここではシュノーケルも上手くいかなかった。今にして思えば、マスクのサイズが合っていなかったのかも。

 過去を振り返ってみて、ようやくこのミコマスケイで、あの座間味に匹敵する海中を見たと思った。
 今の季節が乾期なのも関係あるかもしれない。
 雨期だとどうしても海が濁り、海中がよく見えないと聞くからだ。


2万円ちょっとの安物デジカメなんで、こんな程度で許して下さい

魚って平たいから、正面向いているところを撮影しても模様が見えない。ちょうど横向きになっているのを狙うのはなかなか大変。


 しばらく海面を漂った後、一度岸へ戻った。
「凄いよ、綺麗だよ」
 カナもレナも魚が見たいというので連れていこうとしたが、顔をつけるのを嫌がる。
 マスクは合うサイズがないだろうと普段使っている水泳用のゴーグルを持参したので、数秒なら海中を見ることが出来るはずだ。
 いつもプールでカモノハシのように潜りまくっているレナすら、顔をつけたくないと言う。
 どうもプールの水と違って、塩味がするのが嫌なようだ。

「どうする? 来ないの?」
 カナは砂浜でパパと待っていると言った。
 レナは一緒に行くと言う。そこでライフジャケットをつけさせた。

 手を繋いで、せーの。
 とぷんと海の中に入り、黒々と見える珊瑚目指して泳ぐ。
 レナはやたらとハイになっていて、うけけけけけと笑い声が聞こえる。
 ライフジャケットの浮力が凄いので、顔をつけなくてもぷかぷか浮いているのだ。

 足が届かなくなるくらいの深さから、もう珊瑚が沢山ある。浮いているとお腹をこすりそうになるくらい近くに枝を伸ばしている。
 あっ、いたいた、魚。
 顔を上げて、手を繋いでいるレナに「魚がいたから顔をつけてみな」と教えるが、それは嫌だと彼女は首を横に振る。
 水中を見なくて何が楽しいのだろうと思うが、とにかく楽しいらしい。手を繋ぐのに厭きると、人の背中によじ登ったりしがみついたり。
 こちらもあまりに海の中が綺麗なので、レナは好きなようにさせておいてシュノーケルを続ける。きっとツアーの監視員など、この二人は何をしているんだろうと怪しんでいたことだろう。
 あまり長いこと水中にいると、ウェットスーツを着ているとはいえ体温低下も心配だし、疲れてしまってもいけないので、笑い声が聞こえなくなったら岸に連れていこうと思っていた。
 それがいつまでも笑い声が聞こえる。
 顔を上げるたび、きゃっきゃと言っている。

 流石に限界だろうと岸に戻れば、パパがレナって凄いと吃驚していた。



6-14.楽園の島に別れを告げるへ続く


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