1.モスマンの虹
四日目 7月17日(土)
夜が明けていないのではないかと思う薄暗さだった。
昨日、一昨日と、夜明け前から活動していたので、今朝くらいはゆっくり起きたいと思っていた。
カーテンを開けると空は一面灰色の雲に覆われていた。
本当に今の
ケアンズは乾期まっただ中なのだろうか。今にも降ってきそうな不穏な空だ。
テーブルにはパンとミルクとジャムとシリアル。
ミルクの大きなボトルがいかにもオーストラリアらしい。
支度を終えて車に乗ろうとすれば、いつの間にか雨が降っている。
モーニングシャワーかしら。すぐにやめばいいけど。
ポートダグラスを出てケアンズと反対の方角に曲がる。
今日の目的地
マリーバは、昨日熱気球に乗った場所だ。
熱気球に乗ったけれどもマリーバをゆっくり見て回ったわけではないし、ルートも昨日は海側からのアクセス。ポートダグラスからキャプテンクックハイウェイを南下し、
スミスフィールドからツアーバスで山を登りキュランダ経由マリーバだった。
今日は海ではなく山の方からアクセスする。
ルートはまずキャプテンクックハイウェイを北上、約10キロ先にある隣町モスマンの手前で左折、33キロ先のMt.Molloyマウント・モーロイを経由して、さらに42キロほど一本道を行けば草原の町マリーバに到着する。
この道は初めてだ。
初めての道は何だかわくわくする。
モスマン手前の曲がり角までは、一昨日
モスマン渓谷に行くときにも通った道。
だが一昨日と違って青空は見えない。
道の両側は長く延びたサトウキビの畑が続き、ときおり収穫を終えた丸坊主の畑も。
雨はいつの間にか上がったが、まだ雲は低くたれ込めている。
マリーバは晴れているだろうか・・・と思ってふと車窓を見やれば、
「あっ、虹」
サトウキビ畑と山の間に完璧な弧を描いて虹がかかっていた。
両端があまりにくっきりしているので、まるでその場所に行けば虹の根元が見られそうだった。
虹の根元には宝物が埋まっている。そんなおとぎ話を聞いたことを思い出した。