ポートダグラス楽園日誌2004 4-2


2.マウント・モーロイ

 マウント・モーロイ方面への表示に従って左折すると、サトウキビ運搬列車の線路も一緒に曲がるが、収穫を積む黄色いコンテナ車が数台停まっているだけで、すぐ線路は途絶える。
 そしてゆるやかなカーブが始まり、それに沿って進んでいくとだんだんそのカーブは左右にきつくなり、いつの間にか車は急な九十九折りの道を息を切らせながら上っていた。
 スミスフィールドとキュランダを結ぶ激しいワインディングロードと同じくらい。
 結局海沿いから高原に至るには、どこかしらで山を登らねばならないのだ。
 森の中の山道で見通しが悪い。

 右手に二つほどルックアウトがある。
 実はここまでは去年も来たことがある。
 このルックアウトから下界を見てみようとポートダグラスから登ってきたが、あいにく今日と同じ雲と雨。どうもこの展望台には祟られている。
 去年も今年も今のところは何から何まで天気には恵まれているのに、唯一ここだけは雨で何も見えないのだ。

 道を上り詰めると、キャンプ場とガソリンスタンドが見えた。
 ここから一気に見通しがよくなる。
 おや、正面に見えるのは雲の切れ目と青い空。
 大陸らしい真っ直ぐな道で、行く手には晴れ間。
 草原の中を走る快適な道。ゆるやかなアップダウン。
 マウント・モーロイは山の上というわけではなく、割に平坦な場所にあった。ごく小さな集落で、キャンプ場や小さな店がぽつぽつあるだけ。ここの分岐を北西に取れば、長いアウトバックの旅路の末、ヨーク岬の先の方、辺境のWeipaに至るだろう。いつかそんな旅もしてみたい。

 道なりに南下すれば、マリーバへの一本道だ。
 車窓から見える景色は、幹の白いユーカリ、点在する茶色い蟻塚、乾期の風に揺れている木々の、根元から1メートルぐらいは黒く焼けこげたようにブッシュファイアの痕跡。
 そんな景色がもう、果てしなく続く。


ときおり見かける木に咲く赤い花

マウント・モーロイ Mt.Molloy
しかし、どこがマウント?
九十九折りの道を上り詰めると青空が待っていた

ブッシュファイアの痕も生々しい木の幹。こんな木々と蟻塚がどこまでも続く景色




4-3.ミッチェル湖の馬へ続く


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