3.離陸
窓の外に私たちの乗る便より早いカンタスのシドニー行きが乗客を乗せ、じりじりと動き出している。空はもう黄昏時もとうに過ぎて、藍色の帳が降りている。滑走路の誘導灯が一直線に並んでいるのが見えた。
「ねぇ、置いていかれちゃうの?」とカナ。
まだだよ。
「でも、もうほとんど人がいないよ」
夜になると、オーストラリア行きを残してほとんどの便は既に終わっている。空港に残っている客も減って、焦燥感を感じているらしい。
最後の時間つぶしは、空港の無料インターネットだった。
何故か5台分の台があるのにパソコンは2台しかない。盗まれてしまうのだろうか。1台は別の人が使っていた。残る一台を巡って、疲れてきた姉妹は取り合いを始める。
そうだよね。疲れたよね。もう4時間も空港で待っているんだものね。
ようやく搭乗案内が入ったが、少々遅れている模様。9時25分発のはずの飛行機に、やっとの思いで乗れたのは既に9時40分過ぎ。
去年使った
ケアンズ行きは、ケアンズ経由シドニー行きだったのでオフシーズンにも関わらず混んでいて、3列4列3列の真ん中の4列を取ったがこれは失敗だった。子供たちは遠慮なく一人二席分占領して寝てしまい、大人二人はどうやって寝たものかと途方に暮れた。
今度の便はそれより小型の機で、2列3列2列の窓際2列を前後で取ることができた。ぎっちり四人くっついているよりも、窓や通路側にスペースがある分少し余裕がある。レナはママと前の席に、カナはパパと後ろの席につくことにした。