子連れ家族のための温泉ポイント
- 温度★★★★★ 泉質★★★★☆ 温度も泉質も特に問題なし
- 設備★★★★★ 雰囲気★★★☆☆ 脱衣所にベビーベッドあり、浴室用ベビーチェアあり
子連れ家族のための温泉ポイント
昭和36年に田んぼの中から温泉が湧き出した石和温泉の歴史はまだ新しい。しかし華やぎの章 慶山はそれにさかのぼること2年、昭和34年からこの地で旅館業を営んでいる。つまり温泉が無かった時代から営業していたわけだ。
今でこそ山梨県企業局が石和温泉の源泉を管理し、循環仕様の1本の共同源泉を各旅館に配湯しているが、慶山のように温泉が湧く前からあった宿などは、当時自分たちで掘削、源泉を取得して、今も自家源泉を掛け流していたりする。だから慶山とその周辺に石和温泉の独自源泉の宿は集中している。
慶山の源泉は全部で7本。ありがたいと思うのは、その7本を全部ミックスしてしまわずに、それぞれの浴槽に別々に注いでいること。といっても成分はあまり変わりは無く、どれもアルカリ性単純泉。温度は少し違いがある。もともとぬるめの源泉は一部加熱する。
慶山はある意味、古くさいともいえる宿だ。それは建物が老朽化しているという意味ではなく、頑なに昔ながらのやり方を守ろうとしているという意味。昔ながらのやり方というのはつまり、「合理性よりも、人の手によるおもてなしの意気」「上げ膳据え膳でお姫様(お殿様)気分を味わってほしい」「手は抜かない」というもの。
だから今風のお洒落な雰囲気とはちょっと違うかもしれないし、構ってほしくない人には向かないが(そういう人のために姉妹館の甲斐路がある)、三世代旅行などには向く。意外と従業員には若い人も多く、シングルマザーに働きやすい環境を整えたりしているので、辞める人が少ないと聞く。こういう話を聞くと、単純に良い宿だなぁと思ってしまう。
あと、食事が美味しい。これはガチ。
さて、慶山の浴室は昼から夜まで男湯の花野(内湯)&六歌仙(岩露天風呂)と、昼から夜まで女湯の花桐(内湯)&花檜(檜露天風呂)の四つ。それぞれ朝風呂の時は交代になる。
お湯は無色透明。お湯の温度は浴槽ごとに少しずつ違うといえば違うが、全体的にはきもちぬるめ。においは特に無いが、ところによっては焦げ臭があり、湯口周辺にはカルキくさい部分も。肌触りはきしつく時もあるが、朝風呂に入った花野と六歌仙などはあまりきしつかなかった。
湯上がりは指先がつるつるとコーティングされたよう。あたたまるだけでなく、妙に疲れる部分のあるお湯。単純泉なのにこんなに疲れるのは珍しい。入ると立ち上がるのもおっくうになる感じ。
また、慶山に泊まると姉妹館の甲斐路のお風呂にも無料で入れる(送迎バスで行かれる)。甲斐路の源泉は慶山とは別なので、この辺もちょっとオトク。
とにかくここは古き良き昭和が残された宿。日本が今より元気だった時代、高度経済成長期の贅沢ってこうだったって懐かしくなる。一方、その時代に生まれていなかった若い人なら、これはこれで知らない世界として楽しめるのでは。
食事や部屋など、温泉以外の内容に関しては、トラベルジェイピーの記事に詳しく紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。⇒ 石和温泉「華やぎの章 慶山」今の時代だからこそのおもてなしとは